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4話
「あら、そんな所に隠れてたのね?けど、もぅ疲れたでしょ?」
巨体が一歩を踏み出すたびに、ぐらりと地面が揺れた。その揺れで、むつも倒れこんだ。起き上がる気力もないようだ。
「ふふっ、美味しそうだから最後にって思ってたけど…やっぱり1番最初にしてあげるわぁ」
うつ伏せになっていたむつを長い足で仰向けにさせた。すでに呼吸は弱く、目を開けてはいても焦点があってない。
「すぐに楽にしてあげるわ」
しゅーっと女の息がむつにかかる。よほど待ちわびていたのか、ぼたぼたと涎が滴り落ちていく。
ぐぐっと蜘蛛の顎がむつの、弱々しく上下する胸に近付いていく。
「楽になるのはてめぇだあっ‼」
するんっとむつの足の間から、ふかふかした毛の尻尾が出てきた。そして、そこからぼっと炎がともった。