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4話
「むっちゃん大丈夫?」
「ぶっちゃけ無理」
拭っても拭っても止まらない汗といつまでも整わない呼吸で、むつの体力も限界が近いようだった。限界が近いというより、むつはもう立ち上がる気力もないほどだった。
「ごめん、手足が痺れて感覚ない。あと、ふらふらするんだけど」
倒れている木に寄りかかり、苦笑いしながら、手を握ったり開いたりした。
「わたしがここで、劣りになるよ」
「ダメだそれは!」
「けど、他に手はないよ。颯さんがあいつの後ろに回って」
「いや、我が良いことを思い付いた。いいかよく聞け…」
バキバキバキっと近くでまた木が倒された。砂ぼこりが舞い、それを吸い込んでしまい、むつと颯介もむせこんだ。
「そろそろディナーよ。運動したからお腹が空いたわぁ」
倒した木々をどかしながら、蜘蛛がその巨体を揺らしながら近付いてくる。
「ちょっと派手に動きすぎたかしらぁ?視界が悪いわねぇ」
倒れた木に手をかけ、むつがゆっくりと立ち上がった。