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4話
だが、伸ばした手はぴたりと止まった。
「え?」
周囲が急に明るくなったのだ。バチバチと音をたてて燃える、オレンジ色の炎が女の後ろに広がっていた。
苦し気に悶えていた蜘蛛たちの動きも、だんだんと弱くなり動かなくなった。それでも火の勢いはおさまらない。
「えっ?何で?子供たちがぁっ‼」
さっと立ち上がったむつが、女の腹を思い切り蹴った。蹴られた女は、尻餅をつくように倒れた。
「くっだらねぇ事くっちゃべってるからガキどもが灰になっちまったな」
炎が消えた場所には、火が燃えて出来た黒いあとだけが残っていた。
「さて、あんた一人で人間3人と狐3匹も食うってか?もぅ夜も遅い、太るよ?」
「よくも…よくもぉお‼」