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4話
そして、むつもふらっと揺れると座り込んでしまった。
「むっちゃん‼むっちゃ……」
颯介の大きな手がむつの額に張り付く髪の毛を横に流して、そっと汗も拭う。
苦しいのか、むつは大きく口を開けて、ひゅうひゅうと呼吸をしている。震える腕が、宙を掴むかのように震える。
颯介がその手を握り、そしてぎゅっと抱き締めた。
「あらぁ?沢山、噛みすぎちゃったかしら?けど、まぁ意識はあるでしょ?」
抱き抱えていた蜘蛛を地面に下ろすと、女はスキップでもするような足取りでむつたちに近付いてきた。
するっと颯介の手から零れるように、むつの手が地面に落ちた。
「やだっ死んじゃったの?死肉はすぐ固くなるからいやなのに。仕方ないわね、その女から餌にしちゃおっと」
女がむつに手を伸ばした。