128/157
4話
「おいっ、狐」
颯介に呼ばれ、狐たちが集まるとより明るくなった。そして、はっきりと噛まれた場所が1ヵ所じゃないのが知れた。
「まだ死なないわよぉ」
がさっがさっとゆっくりと枯れ草を掻き分けて、姿を見せたのは例の美女みかと祐斗だった。
「殺しちゃったら、貴女のお友達が死んでいくのも見れないでしょ?貴女はわたしの子供たちを沢山殺したから最後にゆっくり食べてあげるわ」
くすくすと楽しそうに笑う女。
「はっ、悪趣味だな。祐斗も女の趣味が悪すぎるな」
支えてくれている颯介の腕に助けて貰いながら、むつは立ち上がった。息もあらいし大粒の汗が、額に浮かんでいた。
「あら、立てるのね。けど、それが精一杯って所かしらね?」
むつたちから距離を置いていた蜘蛛が、女と祐斗の周りに集まっていく。