127/157
4話
蜘蛛を払いのけて、切り落とし、踏み潰しながら、管狐にひかれるようにゆっくりと一歩ずつ下がっていく。
「ん?」
だが蜘蛛たちは、むつたちの考えを察しているのかついて来ようとはしない。何故か狐の居なくなった糸の塊の方へと、ぞろぞろ移動していく。
「何でだ?」
ぶんっと風のうなる音がして、振り向いた。むつと颯介は、咄嗟に両手を顔の前で交差させた。
ばしんっと物凄い力で殴られたように、むつが飛ばされ倒れた。そこに、蜘蛛たちが群がっていくのが見えた。
「むっちゃんっ‼」
颯介と狐たちが蜘蛛を蹴散らして、むつをその中から引っ張りだした。
「むっちゃん、むっちゃん‼」
打ち所が悪かったのか、むつは唸りながらうっすらと目を開けた。少し、ぼーっとしているようだ。
狐たちが狐火をゆらゆらとさせているせいか、蜘蛛は近寄っては来ない。その、僅かな光で見えたのは、むつの腕に噛まれたような痕だった。
「噛まれたのか」