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4話
「颯さん、管狐は?近くにいる?」
「え?いや、あぁ。あっち、狐たちの所に加わってるみたい」
「近くに溜め池とか川とかないか調べさせてくれる?」
「わかった」
狐の糸を一緒になって噛みちぎっていた管狐は、顔をあげて颯介の方をちらっと確認すると蜘蛛の群れの中にするする入っていき、じきに見えなくなった。
「近くに水があるなら、やってみる。このまんまじゃラチがあかないよ」
むつがそう言うと向かってくる蜘蛛を颯介に任せた、狐の所に向かうと糸に火をつけた。一瞬、火柱が大きくなったと思ったら、あっという間に糸は燃え、捕らえられていた狐がドサッと落ちた。
「あとは、細かいの取ってあげて」
狐自らもがいたのも良かったのか、すぐに糸から解放された。その際、動くのに邪魔にならない足や身体に、残っているのはほっておく。
「むっちゃん、近いよ。どうする?」
颯介の肩に戻った管狐が、小さな顔を向けて、水場の方を教えいる。
「引き付けよう」