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4話
颯介が糸と格闘していると、かさかさと地を這う音が聞こえてきた。大群なのか巨大なのかの判断はまだ、出来ない。
他の狐たちも仲間を早く助けねば思ったのか、なかなか切れない糸に噛みつく。
「狐火で燃やしちゃえよ」
「それでは仲間が」
「周りが燃えたら自力で出れるでしょ」
むつは、そう言うと糸が伸びている方に目をつけた。青白い炎がむつの左手から生まれ、辺りをほんのりと照らす。
狐たちも尻尾の先から生み出した炎で、糸を焼いていくが思ったほど簡単に燃えてしまう糸でもないようだ。
「わ、わわっ」
かさかさと足音が、はっきり聞こえる頃には正体も見えた。大群なうえに両手に余るほど大きい。
その巨大な蜘蛛たちが、巣にかかった餌に喜ぶように颯介たちに向かう。糸は巻かれた狐は、擬似餌だったとでも言うのだろうか。
むつは糸を辿るのをやめ、颯介も救助は狐たちに任せた、向かってくる蜘蛛も蹴り飛ばし踏みつけていく。
だが、大きさゆえか踏みつけるにも遠慮が出てしまい、取り零しが多い。