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4話
舗装された道路が途切れ、砂利道に変わった。民家はなく、見渡しても真っ暗な闇が広がるのみだ。
少しだけ開けた窓から狐の鳴き声が、はっきりと聞こえた。
「むつ殿‼」
夜目がきく、狐が大きな声を出した。ヘッドライトが照した時にようやく、むつと颯介の目にも何が見えたのかが分かった。
白い糸にからめられて、動けなくなってる狐が宙吊りにされていた。
「一緒に行く?」
むつが聞くと膝の上と後部座席に居た狐は、頷いた。明かりはヘッドライトのみ。周囲の様子は見えない。
静かすぎるのが不気味だった。
ゆっくりと周囲を警戒しつつむつと颯介は、車から降りて動けなくなっている狐に近付いていった。
颯介が先に狐の口に巻かれている糸を、無理矢理に引きちぎっていく。
相当、何重にも巻かれているのか、それとも強度があるのか外れない。