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4話
颯介が持つ、頭部が気になっているのか、管狐が袖から顔を出して、臭いを嗅いだりしている。狐たちも血の臭いが気になっているのか、影からこちらを伺っているようだ。
「さて、この蜘蛛は逃げようとしていたみたいだけど。親玉の所まで案内してくれるのなか?」
「これを追いかけていくのか?山奥まで行かれたら見失うぞ、この暗さだ」
「それなんだよね。見失うだろうし、たどり着く頃には体力なくなってるだろうし。けど、車を使って…こいつが道路を走るとも思えないし」
むつは考えながら、そっと管狐を頭部から離して、自分の肩の上にのせた。
「狐さんたち、これを追える?」
「わ、我らがか?出来ない事はないが」
出来るがそんな怖いことしたくない、と逃げ腰になっている狐たちの中から、むつは一匹を抱っこした。
「のぞき魔さん、お願いよ。これを追って行き先を確かめてきて」
以前、むつの風呂に侵入した狐をあやすように撫でながら、むつは囁いた。
「頼りになるのは、あなただけなの」
「む、うむ。むつ殿がそう言うなら我が行こう‼」