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4話
むつは、逃げようと、かさかさと動き出した頭部を掴みあげ、動けないように札を貼り付けた。
「胴体からは生えてこないのかな?」
頭部を投げてよこされた颯介は、とっさに両手でキャッチしてしまった。袖から顔を出した管狐が、興味津々の様子で頭部の臭いを嗅いだりしている。
「あんまし血に近付けない方が良いよ。穢れてしまう」
倒れたままの胴体を仰向けにし、離れてしまった腕も持ってきて、胸の前で組むように置いてやった。
そして、札を放ち炎をつけた。
めらめらと燃え上がる炎は、あっという間に全体に広がった。
「浄化してくれるはず」
むつは、手を合わせて目を閉じ頭を下げる。炎は勢いをまし、骨も残さずに燃やしていった。
最後に残った僅かな灰は、風と共にさらさらと流れて消えていった。
「面倒見のよさそうな良い人だったね」
「そうだな」