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4話
むつも続いて出ようとして、ずりっずりっと変な音が聞こえ足を止めた。振り向くと首の無くなった胴体がゆっくりと、壁をつたうように起き上がっている所だった。
「げえっ、まじかよ」
外に出て引き戸を閉めるも、胴体の方は窓を突き破って出てきてしまった。その右手には拳銃を。そして、左手にはボールを持つかのように抱えられた頭部。
「どーゆー事だろうねぇこれは」
「操られてるのかな?」
むつと颯介が、のんびりと会話をする後ろで狐は、気を失って倒れた。近くで様子を伺っていた仲間の狐たちが駆け寄り、慌てて抱えあげ離れていく。
「飛び道具はずるいよな」
「どっちが本体かな?」
「胴体じゃね?切り離されて動いてるんだもん、頭は飾りっしょ」
拳銃がゆっくりとむつに向けられた。
周囲が暗くなってきていて、引き金にかかっている指の動きがみえない。むつは、じりじりと颯介と離れた。