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4話
警官は壁にぶつかると、ずるずると力なく倒れていった。
「どうなっておるのだ、むつ殿‼」
「例の美女とやらにやられたんだろう」
むつの代わりに颯介が答え、裏の自宅を見に行こうと出ようとした時、むくりと警官が起き上がった。
その手には、拳銃が握られていた。
「狐さんっ‼」
むつが狐を引き倒し一瞬のうちに、ぶんっと空気の震える音がした。そして、窓から壁に向かって、一直線に赤い液体が、びしゃっと飛び散り、ゴロンと警官の首が狐の目の前に転がった。
「む、むつ殿…こ、これじゃ」
むつは何も言わず、それを、警官の首を落とすのに使った刀を一振りして、血を払った。
「ずっと持ってたのは、にっ日本刀だったのか…けど、それは」
狐がなおも喋ろうとしたが、颯介に襟首を捕まれ、外に引きずり出された。