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4話
「祐斗殿‼居るのだろう‼」
狐が大声を出しながら奥に入ろうとすると、警官が前に出て道をふさいだ。
「帰れ‼帰れと言ってるだろうがぁ‼」
近くにあったテーブルを叩き、警官が大声で怒鳴っている。それでも、奥に行こうと抵抗する狐に警官は、腰に差していた警棒を抜くと殴ろうとしていた。
だが、振り上げられた警棒は狐にあたる事なく颯介に受け止められていた。
「颯介殿っ来てくれたのか」
むつも颯介の隣にいた。
邪魔が入った事が余程、気にくわないのか、二人の方を向いた警官は、口から涎をたらし鼻息が荒かった。
二人の方に顔を向けてはいるものの、警官の左右の目は、てんでに違う方向を向いてぐるぐると動いていた。
それに気付いた狐が、ひきつった様な悲鳴をあげて警官から離れた。
「残念だけど、もぅ助けられない」
颯介が、ぐっと拳を握り警官の顔を思い切り殴り付けた。