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4話
「駐在の前で止めて」
むつにそう言われ車を止めた。辺りを見回してから、車を出ようとして颯介が、それを押し止めた。
「暗すぎる、どうする?」
「様子を見てみないと何とも。わたしが行ってくるから、ここで待ってて」
「いや、ダメだ。それなら俺が行く」
「危ないって、対抗出来るわたしの方がいいってば」
むつと颯介の終わりそうにない言い合いに、狐たちが待ったをかけた。
「式神を飛ばすとか我らが行くとかの方が安全性は高いだろうに」
「あ、そっか」
頷いたむつが、式神を飛ばそうとしたが、それも狐たちに止められた。
「我らが行って、話を聞いてくる。祐斗殿の様子もな。式神は我らに付いてこさせたら良い」
そう言い、狐は白い着物に袴姿の宮司に化けて外に出ていった。むつは、その懐に式神をしのばせた。
「お願いしますよ」
狐は、頷くと軽い足取りで駐在所に向かっていった。むつと颯介は、狐だとばれやしないかと、そっちが気になって仕方なかった。