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2話
そんな二人の只ならない、雰囲気を颯介と祐斗は、じっと見つめるばかりで何も言おうとは、しなかった。
ただ祐斗だけは、不機嫌そうだった。
「で、ご用件は?」
ファイルの資料を颯介に差し出しながら、むつは冬四朗の隣に座った。
「ニュースにもなってるから、知ってるだろうけど。この一月で、かなりの行方不明者が出ているんだよ」
「知ってる。警察は事件性の無い物として処理してるってのも知ってる」
「けど、本当に事件でも事故でもないんですよね?」
資料をめくる颯介にかわって、祐斗が不安そうに冬四朗に確かめた。
「確かにね。年齢も性別もバラバラ、けど住んでる場所だけは近い…というか、ある一定の地域でだけおきてるんだよ」
それは初耳であったようで、颯介も資料から顔をあげた。
「神隠し、ってやつかねぇ」
むつの、のんびりとした声に答える者は、誰も居なかった。