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4話
「むつさんみたいに何でも出来て強い人には、分からないんですよ‼中途半端に霊感がある俺がここに居たって出来る事なんかない。だったら、彼女のそばに居てやりたい、って思って。出来る事をしたいって思って…」
むつが、少し傷ついたような顔をした事に祐斗は、気付かなかった。
しばらくは、誰も何も言わなかったが、むつは、ぱしんっと祐斗の頭を叩くとにやりと笑った。
「出来る事をしたい、か。何があっても自分で責任とれるなら、そうしな。…けどなぁ、それは夜の話だ。今はこっちに集中しろ‼いいな?」
怒鳴られ、竦み上がったようだったが、すぐに返事をすると、祐斗も枯れ草を掻き分け藪の中に入っていった。
「むっちゃん?」
颯介と管狐が心配そうに、むつの顔をのぞきこんでいた。
「あの女、人間じゃないよ」
「えっ‼それ言わなくて…」
「いいよ。自分で責任とるって言ったのはあの子だ…けど、用心しないと」