4話
翌日、すっかり熱の下がったむつは、颯介と一緒に祐斗の迎えに行った。その美女とやらが気になったのだ。
駐在所に着くと、警官はにこやかに二人を迎えてくれた。むつは、しれっと湯野の妹です、と嘘をついた。
下手に関係性を聞かれると、また面倒な事になりそうだと思ったのだろう、颯介も何も言わなかった。
裏の自宅に居ると案内されると、噂の美女と祐斗は和やかに会話をしていた。
祐斗を呼び出そうとして、警官が小声で
「あの女性、記憶がないらしいんですよ。彼とはああして喋っていてもわたしとは、さっぱりでね」
「それなら病院で検査とかしたほうが良いんじゃないですか?」
颯介がそう言うと、警官もそれには同意のようだが、みかが嫌がってるのだと教えてくれた。
「ふーん?とりあえず、谷代君を連れて帰ろうよ」
むつにそう言われ、颯介は祐斗を呼んだ。すると、とたんに女の顔から笑みが消え、泣きそうになっている。それを見た祐斗は、困ったような顔をしていた。
それを見て警官が
「近くにお住まいでしたら、また寄ってやって下さいよ。谷代君と話してるうちに何か思い出すかもしれませんし」
むつは、こっそりと舌打ちしていた。