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4話
むつは唇を噛み締めるだけで、何も言わなかった。
「まぁ10歳も歳上の人の事を分かろうとする事が間違ってるのかもな」
「んー?9歳だよ、もうすぐ8になる」
むつは、そう言うと半分も残っているカップ麺を床に置き、管狐の方におしやった。
「そうか。もうそんな歳になるのか」
カップの中に顔を突っ込んでいる管狐を捕まえ、外にだし。麺だけをすくい、蓋の上にのせてやる。管狐は、それを一生懸命に食べている。
「ってやっぱり、むっちゃんの好きな人は宮前さんなんだ?」
「うん?好きだよ」
「あれ?違うの?」
むつは、首を傾げながら唸ってそれから、みんなと同じくらいには好きかなと言った。
「じゃあ、前に言ってた好きな人って誰?」
「へ?いやまぁ、それはねぇ」
まだ、麺を食べていた管狐を撫でてむつは、その小さな口で指を噛まれていた。
「いっ‼もぅ‼麺あげたのにっ‼」