旅の始まり
私はようやくこの地から旅に出る決心がついた。
子供の頃から住み慣れたこの町に。
能力開花と名付けることにした私の能力が開花した日から5年。ようやく身体に馴染んで使いなれて、この町にいた多くのエネミーを包丁やナイフ鉄パイプを使って殺し、時には隠れコンビニやスーパーで保存食何かを漁る日々とも今日でお別れしなきゃ行けない。
なぜかって?もう保存食何かが底をつきそうだからだ。
さすがに能力を使えてもお腹はすくし、トイレにも行く。
人と最後に話したのさえいつだったか覚えてないこの町に、もう私が生きる為の食料がない。
だからこの町にさよならをする。最後に母を埋めた共同墓地に向かい手を合わせる。
「お母さん私いってくるね?もうここに戻って来ないかも知れないけど、私頑張って最後まで生きてみようとおもうの。私の事ちゃんと見ててね?」
そんなささやかな願いを母に残して私は旅立った。
旅立って少しして気づいた。
私以外にも能力が開花している人がいることに。
まだ人は滅びていないことに。
細々とだが人々は能力者の庇護のもと生きていた。
そして知った。知ってしまった。
能力者が能力を使いすぎると壊れてしまうことを。
私が初めてあった能力者は、かつて人であったものだと言う。
私に警告をくれたおばさんがいた。
「ぁんた。少し待ちな。そっちいっちゃいけないよ!!そっちにゃ横山さんが暴れてるから、あんた死ぬよ!!」
おばさんが言うには、つい最近迄自分達をエネミーから守っていてくれたらしい。だが最近何かが壊れてしまったらしく。人もエネミーも関係なく、ただただ目にはいるものを能力を使って捕食しているらしかった。
私はおばさんに礼をいい別れ、能力を使い近づいてみることにした。
確かにそれはいた。
人もエネミーも関係なく、まるで食べられるのを待っているかのようにそれのまわりに集まって、意思のない人形のように貪られるのを待ている。
その異常な光景を見て。
(ああ……ほんとに壊れちゃってる。)
そんな感想が生まれて。
可哀想で、見ていられなくて、私はバックにしまってた包丁を抜いていた。
「ゲヒヒッ!!クウモノイッパイオレオナカイッパイ!!デモマダタベル!!ゼンブゼンブタベテオレセカイヲモトニモドス!!セカイ?ナンダッケ?ワカラナイ。デモタベテレバキットオモイダス!!」
それはかつて自分の能力を使って世界を元に戻そうとした者の、僅かに残った残滓が放った言葉だったのだろう。
「おじさん。もういいよ?よく頑張ったね。いっぱい…いっぱい頑張ったよ。だからおやすみ。」
「ゲヒッ!!」
こひゅーこひゅーと首から流れる空気の音。
吹き出る血液。
その全てが気持ち悪くて。
私は涙を流しながらその場を離れて嘔吐した。
私が初めて人を殺した日の事。