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In there of the beginning of end(連載版)  作者: ナマケルモノ&文屋
零章…プロローグ…
1/8

プロローグ

はいっということでよろしくお願いす。

終わりの始まりが始まってはや5年。

文明の崩壊。それはあまりにも凄惨に始まり、そして僅か1年という短期間で各国の政府という機関が崩壊した。

最後まであがいたのは案の定アメリカという超大国だったという。

なんで誰かから聞いたように話すのかって?

もういない人から聞いた話だからだ。

世界の情報網何てものは僅か三日で崩壊したからだ。

彼らの戦勢布告は侵略から1年も前にされていたのに。

誰もが忘れていた。

当初世界最大のネット犯罪といわれたそれも、一月も経てば芸能人のスキャンダルに塗り替えられた。

入念に周到に奴等は準備していたのだ。

先ず奴等は各国の核施設に潜入したのだそうだ。テレビでやってたからたぶんそうなのだろう。その後どんどん狙いを変えていった。次に国の主格となる施設、そして軍事施設どんどん被害が発生した。

最初の1日、2日は私にとっては他人事でしかなかった。

だが侵略から3日めに、侵略の魔の手は私達日本の民間人にも伸びてきた。

獣型エネミーと呼ばれたその敵は、人をまるで餌であるかのように食いちぎり噛みちぎり、無残に殺していった。

私は父と母と共に逃げた。避難所を転々として逃げて逃げて逃げた。

昨日話しをした人が、翌日死体になって転がっているなんて事はざらにあったし生き残るのに必死だった。

でもあの日、私達親子にも魔の手は延びてきた。

父が最後に残した言葉は、今も尚頭のなかでリフレインしている。

「逃げろ!お前達だけでも生き残ってくれ……」

父が微笑みながら最後に言い放ったその言葉、泣き崩れそうになる母をひきずって逃げ延びて気づいた。

父が繋いでくれた命。

それも母には無意味だったのかも知れない。

ただでさえ憔悴していた母は、父の後を追うようにその半月後過労死してしまった。

私は泣きながら生きた。

父との約束をたてに理由をつけて見苦しいまでに。

でもそんな私にも命の危機は当然のように迫ってきた。

初めてみるタイプの獣型

鋼のような鱗を持つ獅子頭の巨体なそれは、百頭を越える狼頭よく見る獣型を率いて私のいる避難所にやって来た。

あがる悲鳴。

飛び散る流血。

まだあったんだと思う銃声。

獣の雄叫び。

その全てが非現実的で、でも現実で。

ああ……私の命もここまでか。

と思わせるように。

それを見て下非たる笑いを浮かべる獅子頭は、まるで楽しくて楽しくて仕方ないとでも言うように、爪で切り裂き牙で噛み砕き、人々を惨殺していた。

そしてそれは私にもむいて。

立ち尽くす私を嘲笑うかのように狼頭が脇を走り抜け、逃げた人々を殺す。

そして獅子頭が私のもとにたどり着きニヤリっと笑ったあとで、その大きな腕を振り上げて鋼鉄すらもバターのように切り裂く爪で斬りつけてきた。

心の中で「ああ……私は終わりか。」

そんな事が頭を過りながら走馬灯は駆け巡って。

「ああ……私がこの世界から見えなくなってしまえば生き残れるのに。」

そんなことを思いながらぎゅっと目をつぶり最後の痛みに耐えようとしてた。

いつまでも振るわれないその凶器にうっすらと瞳を開けると、既にそれは振るわれた後だった。

まるで獲物を見失ったかのように、獅子頭は回りをキョロキョロ見た後首をかかげながら、次の獲物に向かっていってしまった。

そして私は気づいた。

気づいてしまった。

自分に世界から与えられた能力に。

「この世界から見えなくなってしまえばいいのに。」

そんなことを考えたから。

考えてしまったから。

世界は私にこの能力を与えたんだと思う。

この世界にいる全ての存在からその姿を消すという能力。

私は心底感謝した。

そしてそれは、恐怖でもあった。

この世界から自分自身の存在が同化でもしているのかと言う感覚に。

自分の性格が希薄になる感覚に。

それでも私はその能力と共に生きようと思う。

それが父さんとの約束だから。

約束をたてに必死にここまで生きたんだもの。

自我が崩壊して狂喜に乗っ取られるまで。

私は生きる。

最後のその時までに、どうか私の個人的な恨みがはらせるように。

さぁ今日も生きるために旅をしよう。

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