表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

5ショートストーリーズ4

同じ一日

その日も時々刻々と時間は過ぎてゆき…

 その日は彼女にとって重大な日。


 大学受験合格発表の日。


 朝から胃が痛いくらい。


 思えば、合格の為に随分努力もした。


 カラオケに行きたいのも我慢したし、映画も我慢した。


 これで受かってなかったら、もう泣いちゃうから。


 発表は正午ちょうどの予定。朝ごはんも喉を通らない。


             ***


 その日は彼にとって大切な日。


 ずっと好きだった彼女に告白をして、その返事がもらえる日。


 返事は明日まで待ってもらえる? そう彼女が言ったから。


 待ち合わせ場所は港が見える公園にて。


 正午ちょうどに時計の前で。


 朝からずっと落ち着かない。


             ***


 その日は家族にとって特別な日。


 ずっと入院していたおばあちゃん。容態が急変したって。


 授業を受けていた僕に 先生が言った。


「早く病院に行きなさい。おばあさんが…」


 頭が真っ白になって、でも、病院に向かった。


 おばあちゃん、僕が行くまで待っててね。


 もうすぐお昼だ。町はいつもと同じなのに。


             ***


 その日も俺にとってごく当たり前の日。


 今日も目が覚めたら午前十一時。


 いわゆるニートの俺。


 今朝方までネットでゲーム。


 家族はみんな出払っている。


 ちぇっ、何もかも無くなっちゃえばいいのに。


 もうすぐお昼だ。腹など減ってないがカップラーメンでも食うか。


            ***


 その日は人類にとって恐るべき日。


 ついにある国の核搭載ロケットの発射ボタンが押された。


 それを確認した某国も その国に対して核攻撃の指示を。


 ロケット到達時間はちょうど正午の予定。


「ああ、ついに世界は…」


 ボタンを押した張本人が嘆いた。


           ***


 その日は夫婦にとって記念すべき日。


 病院の産室から妊婦さんのうめき声。


 旦那さんの しっかり! の声。


 「もうすぐですよ!踏ん張って!」


 看護師さんの励ましも。


「おぎゃぁ~!」


「ああ、生まれました。健康そうな女の子ですよ!」


 正午ちょうどに元気な産声。


 喜びの涙、幸せそうな二人。


           ***


 その日、は誰の元にも同じ様にやってきた。


 いつもとは違う特別な日。いつもと同じ日。


 待ち望んでいた人。希望を持っている人。


 恐れを抱いている人。普段通りで変化など予想もしない人。


 当然、誰かの思惑など関係なく。


 その日もいつもと同じ時が刻まれ。


 宇宙、地球の自転規模では いつもと変わらぬ


 同じ一日。


 いつもと変わらぬ 同じ一日。


誰かの思惑など関係なく、時間は過ぎてゆきます。その日も同じ一日なのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ