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ピクニック

久しぶりの更新です。

パンツ♪パンツ♪(*´ω`*)

リンが暴走して、俺がそれをリノのパンツで止めてから1時間程が経った。

リノはリンの暴走を見てからというもの怯えて俺の背中に隠れている。

「カズマ恐いよ……」

こんな感じでずっと震えている。

元々恐がっていた相手のあんな一面を見たらこうもなるよ。

リンは怒っていた時の記憶がほとんど無いようで『わたし何もしてないのに何で恐がってるの?』とこんな感じである。

リノはあの後、リンに嗅がれたパンツを穿き替え、そのパンツを洗濯に出していた。

相当嫌だったようだ。

そして俺の背中で震えている。

俺にもその震えが伝わるくらいだから相当恐がっているのが分かる。

「ちょっと、こっち来なさいよ!」

リンが俺を手招きする。

「何だよ」

ガシッ!

ん?

後ろに引っ張られ振り返るとリノが俯きながら俺の服の袖を掴んでいた。

「は、離れないで……」

半泣き状態のリノが上目遣いで俺を見てくる。

以外に可愛いかも……変態だけど。

「何してるのよ!」

リンが怒鳴る。

「ちょっと話するだけだから大丈夫だ」

「……うん」

リノが袖を放したのでリンのところに行く。

「何だよ」

「これからどうするのよ!」

リンが小声で話すので俺も小声で返す。

「何がだ」

「牢屋から出られたけど、これじゃあ帰れないじゃない」

「それは確かにそうだがな。あんな変態の所に戻りたくねぇよ!」

「あんた、今まで帰りたがってたじゃない!」

そこまで帰りたがってたか?

「いや……あの変態王女よりこっちのが幾らかマシだと思って」

「わたしは牢屋から出てすぐにこの国に来たから分からないけど、王女様ってそんなに変態なお方なの?」

「人にパンツを無理矢理被せようとする」

「こっちでもあまり変わらないじゃない!」

「少なくとも無理矢理はないだろ……多分」

「帰りが遅かったら王女様が心配するじゃない」

「まだ2日だぞ。心配しないだろ」

「そうかしら」

「まあ、あの変態王女のことだから何をするか予想が出来んが……」

とりあえず話もそこそこにして俺はリノの所に戻った。

結論から言うと、暫くはこの国に留まることにした。

理由は言わなくても分かるな?




***




それから暫くして俺達は何故かピクニックに行くことになった。

荷物は俺が持つ。

リンとリノは互いにはしゃいでいる。

お前ら実際仲良いよな……

弁当を作ってくれたのはナタリアさんだ。

基本的にリノには護衛を付けないらしい。

というのも、この国の近辺には命の危険などが無いからだそうだ。

命の危険は無くとも色々な危険があると思うのだが……

パンチラーノの変態王女とか。

目的地はここから北西にある大樹だ。

道なりに進むだけだから迷うことはないらしい。

大樹か……その樹の下で告白すれば叶うとか昔からそういう噂があるな。

「その大樹はね、昔から色々な噂があってね」

ほらきた。

「その樹の下でパンツを被れば不思議なことが起こるとか」

「何だよそれ!」

あれぇ……俺の知ってる噂と違うような……

「そうなの! じゃあ、わたしも被ってみようかな」

「リンさんの暴力が減ればいいんだけどね」

「何ですって!」

「ひっ!?」

リノは俺の背後に隠れる。

隠れるくらいなら言うなよ……

「てか、パンツ被ったら何が起こるんだよ」

「わからない」

「何で?」

「被ったことないから」

「お前ら普段あんだけ被っておいて何で試してないんだよ!」

「いや……何だか神聖な感じがして」

「今更そんなこと気にしてんのかよ!」

「神聖な場所でパンツを被ることがどれだけ重大なことかわからないの?」

「分かるか!」

やはりこの世界の住人とは価値観やその他諸々が全く違うな……

「神聖な場所で幼女のパンツを……ぐへへ……」

おいリン、キャラが崩れてるぞ。

いや……もともとこんな感じか。

リノは更に怯えて震えている。

「ねぇ……あんたのパンツ被らせてよ……ヒヒ……ヒヒヒ……」

「落ち着けリン! おい! しっかりと自分を持て!」

「パンツパンツパンツパンツ!!!」

「リノ! パンツ貸せ!」

俺は背後にいるリノにパンツを要求する。

正直、変態みたいだからこんなことはいいたくないが。

「ボクのパンツ被ってくれるの! わかった♪」

何で嬉しそうな声を出すんだか。

リノは腰に手を当ててパンツを下ろして足から抜き、俺に手渡してきた。

ほんのり温かいそれを俺は広げた。

「リン! お目当ての物だ! 受け取れ!」

「まさか! また!? やめてええええええええ!!」

俺はリノのパンツをリンの顔面に押し付けた。

「ふがっ! あ…ああ……」

リンの歪んだ顔は段々と恍惚に満ちた表情に変わった。

この対処法が手っ取り早いな。

リノはさっきと同じで地面に倒れ込んで涙で水溜りを作っていた。


「ごめんなさい……」

リンは深々と頭を下げる。

「もう少し落ち着こうな?」

「はい……」

「ボクのパンツを汚さないでよね!」

リノもこればかりは我慢ならないようで珍しくリンに怒鳴る。

「いや、押し付けたのは俺だから責任は俺にある」

「いや! 暴走するリンさんが悪い!」

まあ、そうなんだけどさ……

「なんで出発前にこんな悲惨な目に遭わないといけないの!」

リノは頬を膨らませながら城の中に戻っていった。

暫くして戻ってきた。

どうやら替えのパンツを持ってきたようだ。

「リンさんのせいで遅くなっちゃった。早く行こ!」

「ああ。リノ、今何時なんだ?」

「えっとねー」

リノはドレスの腰辺りに付けた懐中時計に目をやる。

「11時を少し回ったくらいだね」

「まだそんな時間だったのか」

色々あり過ぎて気にしてなかったけど、意外に経ってなかったな。

俺達は大樹に向かって歩き出した。


大樹には1時間くらいで到着した。

かなり近かったな。

その大樹は高さ約30メートルくらいで四方に大きく枝を広げている。

綺麗だな。

葉音がとても心地良い。

ここでパンツを被るのは確かに気が引ける。

いや、パンツを被ること自体がおかしなことだし、気が引けるとかいう問題ではない。

そもそもパンツは穿くもので、被る物ではない。

俺は多分元の世界では変態扱いされるだろう。

異世界でパンツ被ってますなんて誰も信じないし、それこそ変態扱いされる。

パンツを被れば不思議な力が使えて、それで敵と戦ったとしても頭にパンツ被ってるから周りから見ればシュールで異様な光景だ。

リンとリノは大樹の傍まで行って見上げている。

いつもって言うほどでもないかもしれないけど、そこまで一緒に居るなら仲良く出来るだろうに。

実際、仲良さそうだし。

「俺は少し休憩するか」

俺は近くにあった少し大きな岩に腰掛けた。

むにゅっ

お尻に変な感触が!?

慌てて立ち上がって腰掛けた岩を見ると純白のパンツが蠢いていた。

パンツに虫みたいな足が生えて動いていた。

「キモッ!!」

俺の声が聞こえたのかリンとリノが『どうしたの?』と駆け寄ってきた。

「いや……パンツが……」

俺が岩を指差すと二人は一瞬固まった後……

「パン(ちゅう)だぁ!」「パン(ちゅう)じゃない!」

と声を揃えて叫んだ。

「ぱ、パン(ちゅう)?」

「珍しい虫なんだよ」

「ほ、ほう」

「そうよ。とても珍しくて滅多に見られないのに」

「そんなに珍しい虫なのか?」

虫かどうかも怪しいけど。

「捕まえて帰ろっと♪」

「リノ。こんな変な虫捕まえて帰るのか?」

「かわいいじゃん!」

「キモい」

「えー……下着としても使えるのに……」

「尚更気持ち悪い!」

「大丈夫だよ。穿くとおとなしくなるから。少しワサワサするけど」

それは何てプレイだ?

そんなマニアックなプレイなんて誰も望んでない。

中には好きな人も居るかもしれんが。

リノはパン虫を捕まえると言っていたが、どうやって持って帰るんだろう。

虫籠なんて持ってないし。

俺の持つ荷物の入ったカバン――沢山のパンツの描かれている手提げカバン――に入れるのはやめてくれよ。

「よいしょっと♪」

リノがいきなり俺の目の前でパンツを脱いだ。

「おい、何してる」

「何って、パン虫を穿いて帰るんだよ」

「…………」

当然のことのように言うが、気持ち悪くて絶句してしまった。

リノはそれに躊躇なく足を通して身に着けた。

「ちょっとくすぐったいけど、穿き心地は悪くないね。おとなしくしててねー」

虫を穿くなんて気持ち悪いだろ。

虫と呼んで良いのかもわからない、謎の生物だが。

大体、どうやって生きてるんだよ。

臓器とかどうなってんだ?

「パン虫はパンツと同じ素材で出来てるから、パンツとほとんど変わらないよ。エサはパンツ」

「共食いするのかよ!」

今更だが、この世界は色々と異常だ……

「わたしは見るのは良いけど、穿くのは少し抵抗があるなぁ」

それが普通だ。

「何か可哀想じゃない」

そういう問題ではない。

「そろそろお昼にしましょ」

「そだね」

リンとリノは俺が持って来た手提げからレジャーシートを取り出して大樹の傍に敷いた。

レジャーシートにも沢山のパンツが描かれている。

この世界の人達はどれだけパンツが好きなんだよ。

レジャーシートの上に広げられた弁当はとても美味しそうだった。

俺はレジャーシートの上に腰を下ろして一息吐いた。

やっと落ち着ける。

「じゃあ、食べよっか♪」

「食べましょ食べましょ」

「いただきます」

俺は一番手前にあった食べ物を取って口に運んだ。

「美味いな」

口の中でふんわりと蕩けて、香ばしさが鼻を抜ける。

「これ、美味いな」

「ナタリアは料理がうまいからね。ちなみにカズマが今食べたのは焼きパンツだね」

「ぶふぉ!!」

「ちょっと何やってんのよ。汚いわね!」

「パンツだと!?」

変態王女の所で食べた料理はまともだったぞ。

何でここに来てこんなにパンツ三昧なんだ。

「大丈夫だって。食用パンツだから」

「食用パンツって何だよ!」

「そのままの意味だけど」

「食用だろうがパンツだろ!」

「美味しかったんだからいいじゃん。見た目とかで決めるのは良くないよ。それより中身が大切なんだよ」

まさか……一生の内でパンツを食べることになろうとは……

もう死ねる……




***




一方のパンチラーノ王国。

「カズマさんがついにパンツを!」

「はい」

「この世界に来ていただいた時は普通のものでおもてなしをしましたが、これからは食用パンツもお出し出来ますね♪」

「王女様。カズマさんの救出はどうされるおつもりですか?」

「すぐにでも救出したいですけど、もう少し様子を見ましょう。カズマさんにはこの世界を見ていただいた方が良いでしょうから」

「分かりました。引き続き偵察します」

報告に来ていたメイドが踵を返して王室から出た後、王女の隣に立っていたフロールに側近の一人が耳打ちする。

フロールも以前、王女に聞こえていたので王女から少し距離を置いた。

「フロールさん。これって私たちが偵察した方が速かったのでは?」

「確かにそうですね……」

「もしかして王女様はわざとやられているのでしょうか?」

「その可能性はありますね。何せへんた……少し特殊なお方ですから」

「そうですね。へんた……特殊ですから」

フロールと側近のメイドは王女の後姿に一度目をやってから顔を見合わせた。

「フロールさんもやっぱり思いますか?」

「はい。カズマさんが来てから更に磨きがかかったかと……」

フロール達は互いに頷いてから声を合わせて小声で呟いた。

「「王女様は……変態!」」

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