唯の決断
少女は悩む。自らを脅かす死とゆう言葉に抗うべきか。
その答えはどんな結末を迎えるのか。
「覚悟……か」
唯は帰宅路を辿っていた。
悩んでいる内容はさっき蓮に言われた「死ぬ覚悟があるのか?」についてだ。
唯は自分が出て行くのが最善で、正しい選択だろうとゆうことは理性では理解していた。
しかし「死」とゆう単語に対して本能的な恐怖が唯の理性を邪魔する。
「私はどうすれば……」
そんな単語を唯は奇しくも昨日足音を聞いた場所だった。
そして唯は結局答えを出せないまま帰宅路をただ無気力に進んでいった。
ーー午後七時。
唯は浮かない顔で姉の真紀ーー光座華高校3年生ーーと食事をとっていた。
ーーちなみにパエリアだ(調理者 唯)
「どうしたの唯、暗い顔しちゃって。もしかして男?」
「そ、そんなんじゃ無いよっ。ただ……ね」
真紀のおちょくりに少し顔を明るくした唯だがまた顔を俯いてしまう。
(言える訳ないよ。まさか霊に友達が殺されそうだなんて)
しかし唯の表情は真紀に何かあったことを伝えるには十分だった。
真紀は先程のふざけた表情から真剣味を帯びた顔で唯にもう一度唯に問いかける。
「本当にどうしたの?私に話してみてよ、どんな話でも信じるから」
「でも……」
「もしかしてオカ研の奴らに何か言われた?」
「ッ‼何で……」
今日、いや昨日会った蓮達のことを当てられ唯は驚く。
ーー驚くが唯の反応は薄かった。時々あるのだ、真紀が考えを見透かしたようなこと言うのは。
だが真紀の返答は唯の予想を上回るものだった。
「だって昨日の夜中に家に訪ねてきたんだもの」
「えっ‼でも窓から……」
「窓から来たのは蓮くんだけよね。胡桃ちゃんは玄関から入ってきたよ」
「へっ……」
ーーまさかあの非常識な集団がそんなことをするわけがない。
と、思っていた唯はついつい間抜けな声をあげてしまう。
「あれ?」
「うん?どした」
唯は一つの疑問に思い当たり声をあげる。
「お姉ちゃんってオカ研の人達と知り合いなの?」
「あー、それは……」
真紀は答えずらそうに唯から目を逸らす。
だが姉のそんな反応を見てしまえば気になってしょうがい唯はーー
「ね、何。どうゆう関係なの?」
「まあ、昔ちょっとね。ーーほらほら、そんなことより唯の話を聞かせてよ」
「むぅ……」
あからさま話の逸らし方に少しムッとする唯だったが、これ以上話を後回しにしても仕方がないので本題に話を戻す。
「もうっ、今度詳しく教えてよね」
「はいはい」
「じゃ、始めるね。始まりは昨日の放課後友達とーー」
それから三十分程、唯は昨日遭ったこと。
そして今日言われたことを真紀に話続けた。
真紀はその話を口も挟まずに真剣な顔で聞いていた。
「ーーってゆう訳なんだけど」
「ふーん。で、唯はどうしたい訳?」
「それは助けに行きたいよっ。でもーー」
自分の命惜しさにまた唯は答えを出しかねる。
しかし真紀は唯の気持ちを知ってか知らずか唯に問いかける。
「ーーでも?」
「でもね、死ぬのが怖くて……。私、わたしッ‼」
唯は始めて自分の気持ちを言葉にする。
そして唯の頬に一粒の涙な顔が流れる。
すると真紀は唯の様子を見て優しく助言をする。
「唯の助けたいって気持ちは本物なんでしょ。なら自分の気持ちに素直に従いなよ」
「お姉ちゃん……。でもーー」
「それとも唯は友達が死んじゃってもいいのかな?」
「っ‼ーーそんなわけないっ‼」
「じゃあその気持ちに正直に……ねっ」
涙を流す唯を真紀は優しく抱きしめる。
唯も真紀に体を預ける。
「大丈夫、唯は強い子だもの。それにさ、信じれば必ず蓮君達は助けてくれるよ」
「うん、お姉ちゃんっ」
唯は真紀の言葉を聞いて決心する。
友達を助けようと。
唯の顔が明るくなったのを見て真紀は安堵する。
「じゃあ唯、顔洗ってきなさい。そんな泣き腫らした顔じゃ笑われるわよ」
「お、お姉ちゃんっ‼」
顔を紅くした唯は洗面所に駆けて行くのであった。
「ふぅ、そろそろ隠し通すのも限界かなー」
そして真紀ののんきな声が部屋に響くのだった。
ーー午後九時三十分。
唯は外出用の服に着替えて玄関にいた。
後ろでは真紀が見送りに来てくれている。
「じゃ、行って来ます。お姉ちゃん」
「うん。行ってらっしゃい」
姉の言葉を背中に受けながら唯は家を飛び出した。
少し遅い投稿になっちゃいました。
ストックが尽きちゃってしまったのです。
さてさて今年も後二日。今年中の更新はあと一回出来るかどうかです。
ではまた




