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オカ研の怪異解決談  作者: 春風桜花
さっちゃん編
4/8

4: 覚悟

人を守ること。それには覚悟が必要だ。

それを一人の少年はよく知っていた。

「冗談……ですよね?」


唯は戸惑っていた。

そろもそうだろう、昨日目の前で蓮によって殺されたさっちゃんがまだ生きているだなんて言われれば。


「悪いが冗談じゃない」

「で、でも。私の目の前で死ーー」

「殺しそこねた。それにきずいたのは不覚にも今朝でな」


くそっ、と蓮が苦々しい顔をして下を向く。

しかし唯にとってはまださっちゃんがこの世にいることのほうが驚異だった。


「じゃ、じゃあ私……また襲われちゃうんですか?」

「いえ、唯ちゃんは襲われません」

「そうなんですか?」

「はい」


ーー唯は襲われない。

その言葉は唯を安堵させる。

しかし、蓮によってその安堵は再び打ち砕かれる。


「だが……お前は、だ」

「どうゆーことですか?」


蓮から発せられた言葉を理解できずにいた。

何故か嫌な予感だけが唯の身体を駆け巡る。


「お前は。つまり、一緒にやったお前の友達は今日の深夜に()られるんだよ」

「嘘」

「いや、悪いが嘘じゃない」


ーー友達が殺される。

それは唯にとって自分が死ぬのと等しく起きて欲しくない事態だった。

だから唯は一つの可能性を聞いてみるーー


「で、でも枕元にバナナ置いとけば大丈夫なんですよね」

「昨日の時点ならそれでも解決できたんだけどな」

「そ、それでもーー」

「無理だ。昨日あんたがバナナの絵を捨ててさっちゃんを怒らせたからな」

「そんなーー。でも、あなた達ならーー」


ーーしかし現実は残酷だった。

それでも唯は可能性にすがりたかった。

目の前にあるオカルト解決部とゆう一つの可能性に。


「ーーできんこともない。あんたが俺たちを信用してくれるならな」

「え?どうゆことですか?」


ーーそんなものとっくにしている。

そう言いたそうな唯の口調に蓮は溜息をこぼす。


「ならお前は友達を助けるために命を賭けれるか?俺達に友達の命を預けることが出来るか?」

「っ‼急にそんなこと言われても……」


蓮の急な問いかけに唯は言葉を詰まらせる。

そこまで考えが至ってなかったのだ。

友達の命を背負い込む覚悟が必要だとゆうことまでは。


「あらかじめ言っておくが、今回さっちゃんを始末するに当たって俺はあんたに協力してもらおうと思っている」

「でもっ、それはーー」

「ああ、もちろんあんたの命も危ない。だから無理にとは言わないがーー」


蓮はそこで一拍開けて言葉を続ける。

唯にとっては聞きたくない一言を。


「あんたがいないと友達の生存率が著しく下がるのも事実だ。まあ、別に俺はそれでも構わないがーー」


『あんたはどうだ?』


蓮の言葉が唯の中に響く。

しかし蓮の質問はすぐにーー少なくとも唯にはーー答えられる質問ではなかった。


「少し……時間を下さい」


だから蓮に悩む時間を求めた。


「分かった。もし決心がついたら今日の午後十時に校門の前にこい。ーー何度も言うようだが別に来なくても構わない」

「分かった」


そう言い残して唯は部室が姿を消した。

その後も蓮と胡桃は部室で今日の打ち合わせしていた。

そして二人が部室を出る少し前。


「今日、来るかな唯ちゃん」

「さあな、来なくてもいつも通りやるだけだ」

「うん」


ーーいつも通り。

その言葉に胡桃はホッとする。

唯と話しているときは心配だったけど、いつも通りの蓮なら人を見捨てないだろうから。

そして話題少し変わる。


「しかし凄かったね唯ちゃん」

「ああ、まさかあんな奴がいりとはな」

「私達で保護する?」

「それは分からん、正直。ーーただ一つ言えるのはーー」


そこで胡桃も蓮の言葉に合わせる。

二人の共通の感想、それはーー


「唯ちゃんはーー」

「あいつはーー」



「「危う過ぎる」」















どうでしたでしょうか。

次々の回くらいで作者はまた寒気に当てられそうです。

あと登場させて欲しい怪異があれば感想に書いて教えて下さい。


ではまた。

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