表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オカ研の怪異解決談  作者: 春風桜花
さっちゃん編
1/8

プロローグ

少年達はこれが序章であることをまだ知らない。

五月の夕方。


「うーん、今日なんか寒くないかな」


そんなことを呟きながら光座華(ひかりざか)高校一年、永瀬唯(ながせゆい)はいつも通りの帰り道を歩いていた。


「やっぱりあれのせいかな? ……っいやまさかねっ‼」


あはははっ‼

そして唯の口からは乾いた、そして強張った笑い声がもれる。

しかしーー


ーーペタペタ


「ひっ‼」


後ろからそんな足音が聞こえて唯は動きが固まる。

それからまるでロボットのように後ろを振り向くとそこにいたのはーー


「にゃあ」

「なんだぁ、猫かぁ」


小さな黒猫だった。

猫を見てホッとした唯は安心して、鼻歌交じりにまた家に向かって歩きだす。




ーーそして唯の姿が黒猫の位置から見えなくなった頃。


「ミケ、おいで。うんいい子いい子」


そこには腰まで届きそうな黒髪をした少女がやって来た。

着ている服は唯の通う光座華高校の制服だ。

そしてミケと呼ばれた黒猫を右腕に抱きながらーー


「蓮、マズイよあの子」


携帯を持った左手に向かってそう言った。

唯の家がある方向を見つめながら。




午後十二時少し前。

唯は今日一緒にあれをやった友人ーー欄と電話をしていた。


「ねぇ欄、噂通りならそろそろだよね?」

「え、何?唯ビビってんの⁉」

「いや、そうじゃないけど……。ドキドキしちゃって」


正直唯は緊張、もとい怯えていた。

約束を破って手に持っている絵を枕元に置こうとするくらいに。

まあ、見栄を張ってしまう訳なのだけれど。


「ふーん、まさか唯、置いてないよね」

「え、お、置いて無いよ⁉うん‼」


ビクウッ‼


図星を突かれた唯は反射的に手に持っていた絵を丸めて投げてしまう。


「ま、別に大丈夫だよ。あんなもの噂だって、うわさ」

「だ、だよね」

「じゃ、一分前だから切るね」

「ねぇ、どうせなら一緒に部屋の電気消さない?」


約束通り電話を切ろうとする欄に唯は少しでも恐怖を紛らすために言葉を発する。


「あはは、唯は怖がりさんだなー」

「こ、怖がりじゃないもんっ‼」

「じゃ、切っちゃってもいいのー?」

「そ、それはダメっ‼」


からかってくる欄の言葉に唯ば敏感に反応する。


「はいはい、分かったよ。じゃあせーのでいくよ」

「うん」


ゴクリッ


そして唯がせーの‼ と言おうとした時、


(さっーー本当はーー)


「ちょっと唯‼あんたの携帯からあれが聞こえるんだけど?」

「え、嘘っ‼怖い事言わないでよっ」

「え、でも確かに。あれ?何にも聞こえない……。空耳だったのかな」

「そうだよー。びっくりしたー」

「じゃ、あらためてーー」


すぅーー


「「せーの‼」」


プー、プー。


声と同時に部屋が暗くなり電話も切れる。

そんな中唯は手探りで自分のベッドに潜り込む。


(うー、本当に真っ暗だよー)


そして布団に入ったまま怖がる唯のところにーー


「さっちゃんはね、さちこって言うんだ本当はねーー」

「えっ⁉」


あれが聞こえてくる。

そう、唯達がやったのは都市伝説のさっちゃんの検証。


そして動揺する唯のもとにどんどん音が近ずいて来てーー


ーーガチャリ


真っ暗なので何にも分からないが誰かが唯の部屋に入ってくる。


「さちこって言うーー。あれ?バナナがないぃぃっ‼」


闇の中でさっちゃんが唯に向かって振り替える。

そして闇の中には月明かりでギラリときらめく包丁の刃。


「ならお前の足を持って帰るよ」

「あっ、あっ、やめっ、やめて。こないで」


しかし唯の言葉などさっちゃんと呼ばれるこの怪異が聞くわけもない。

さっちゃんは闇の中で腕を振り上げーー


ブウゥン‼


「い、いやぁぁぁぁあっ‼」


唯を切ることはなかった。


「あ、あれ?」


涙になった唯が状況を理解できずにいると部屋の電気が付き見知らぬ少年と、地に伏しているさっちゃんが目に入る。

そしてよく見れば少年の手には変わった形のハンドガンが握られていた。


「あ、あなたが私を助けてくれたの?」

「ああ、そうだ」

「あなたは?」

「俺は崇ノ宮蓮、オカ研の部員さ」
















どうも春風桜花です。新作、オカ研の怪異解決談を読んでくれてありがとうございます。

自分にとっては初ホラーです。

ただいま並行して執筆中の『僕の周りの人が愉快すぎて困る』と共にお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ