1、ブルーマンデー
はじめまして、249と書いて、にしきです。
今回は始めての一次です。
感想とか合ったら嬉しいです。
それでは( ̄ー ̄ゞ-☆
夕闇照す町、十勝。そこにはある一店のバーがあり、名前は『bar胡蝶』。
そこは、不思議な事が起こるバー。
今日も、誰かがそのバーに入る。
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街灯のネオンが照す夜。そこに、一人の少年が居た。その少年は身体中傷だらけで路地裏で座っていた。
「…………いてぇ」
そう呟いて、少年は自分の意識が薄れている事に気づく。このまま死ぬのか。そう思っていると、誰かが少年の前に現れた。
「はっ、こりゃ綺麗な死神だ」
少年はそう言って意識を手放した。
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「ん、ここは?」
少年が目を冷ますとそこは、バーだった。バーと分かったのはカウンターの後ろにお酒の瓶が多く並んでいたからだ。バーの内装は、落ち着いたイメージで、変わった所は壁には蝶の標本が何個か飾ってあった。
「目が覚めたかい」
ふと、少年は声が聞こえた方を見ると、そこには白いバーテンダーが居た。
「あんたは………」
「俺かい?俺は胡蝶。このbar胡蝶の店長だ」
胡蝶はそう言うと、少年の前にリゾットを差し出した。
「これは?」
「君、倒れてたんだ。たぶん、栄養失調だと思ったから、さぁ、どうぞ」
「い、いただきます」
少年はそう言ってリゾットを食べた。リゾットは少年の事を思ったのか野菜をペースト状にしていた。
そんなとき、店のドアが開きドアベルが響いた。
「いらっしゃいませ」
ここはは優しい声でお客を迎えた。入ってきたのは、三十代の男だった。
「お客様、今日は何をお飲みになりますか?」
「あ、お酒を」
男は少し慌てたように言った。少年は男の不審な態度が気になった。
「そうですか、なら少しお待ちください」
だが、胡蝶はそれを気にせず準備する。その時だ。
「う、動くな!!」
男はいきなりポケットからナイフを取りだし、胡蝶に向けた。
「!?」
「か、金を出せ。出さないと、刺すぞ」
男は震えた手でナイフを向ける。
「なっ、てめえ!!」
「う、動くな!!動いたらこいつを刺すぞ!!」
少年が立ち上がると、男は胡蝶を刺すと脅した。少年はそれを聞き、座った。
「さ、さぁ、早く金を!?」
男振り向くと、胡蝶はナイフを向けられてもなお、準備をしていた。
「お、おい!?」
「お客様」
「はい!?」
「お客様はどのようなお酒が好みですか」
「お、おまえ今どんな状況かわかってんのか!?」
「御答えが無いのなら私か勝手に作りますが良いですね」
そう言ってシェイカーに材料を入れた。
「おまえ、今、ナイフ向けられてるのが分からないのか!!」
男はナイフをつき出すと、ナイフの刃先が胡蝶の首に刺さる。だが、胡蝶は気にせずシェイカーをシェイクする。
「ひっ!?」
男は胡蝶に臆し、ナイフを落とした。少年はそれを見て、男の背後をとり羽交い締めをする。
「てめえ!!嘗めながって」
「ひ、ひぃぃ!!」
男が悲鳴をあげると、胡蝶は一言二人に言った。
「静かにしろ……」
二人はその一言を聞いて静まった。胡蝶ののその一言はまるで銃口を向けるガンマンの様に鋭く重厚な殺気が籠っていたからだ。
「お客様、どうぞ」
胡蝶はさっきの殺気が嘘のような最初の振る舞いでカクテルを差し出した。
「これは?」
「ブルーマンデーです」
男は椅子に座り、差し出しだされたカクテルを受け取る。そして胡蝶はそれを確認し口を開ける。
「ブルーマンデー。和訳すると、青い月曜日。青は憂鬱な印象があり一見暗いイメージがありますが、味は辛口のウォッカにコアントロー、ブルー・キュラソーのオレンジリキュールが合わさりスッキリとした味わいです」
胡蝶の説明を聞きながら男はブルーマンデーを飲んだ。すると、店のドアが開き、店に若いサラリーマンが入ってきた。
「いらっしゃいませ」
「お、いい雰囲気の店じゃん」
「ありがとうございます。お客様、今日は何をお飲みになりますか?」
「そうだな。じゃあ、ジョニ黒を」
「わかりました」
そう言って、胡蝶は後ろの棚からジョニーウォーカーの黒ラベルを取り出した。
「ロックと水割りどちらに」
「なら水割りを頼むよ」
「わかりました」
グラスにジョニーウォーカー、ミネラルウォーター、氷を入れ、サラリーマンに差し出す。
「ジョニーウォーカーの黒ラベル。水割りです」
「お、ありがとう。後、ナッツ頼むよ」
「わかりました」
胡蝶は机の下からナッツを取り出していると、サラリーマンは、胡蝶に話し掛けた。
「なぁ、バーテンさん聞いてよ」
「どうしました?」
「今日さ、会社で上司に怒られてさ」
「と、言いますと」
「俺のミスで資料がさ消えたんだ。そしたら上司カンカンでさ、まぁ、バックアップがあったから良いけどさ。落ち込んでるのさ」
「そうですか」
「けどさ、落ち込んでばっかだじゃ駄目なんだ。この失敗を明日に生かさなきゃな!!失敗を恐れてたら駄目だろ!!そうだろ」
「そうですね」
「なに一人て納得してんだよ」
一人で、納得するサラリーマンを見て、少年は呆れていたが、男はそれを見て黙っていた。そして、ぽつりと呟いた。
「落ち込んでばっかじゃ駄目か」
「?」
「ハハハハハハハハ!!」
呟いた後、突然笑う男を見て、胡蝶は微笑んだ。
「何か、答えは出ましたか」
「はい、私会社をクビになりまして、妻に逃げられました。その後も失敗続きで、ももう駄目かと思いました。でも、そこの彼の言葉で目が覚めました」
「そうですか」
「さっきはすみません。なんと、言っていいのか」
「いえ、お客様が答えを得たのなら私は構いません」
胡蝶はそう言うと、机の下からチラシを取り出した。
「宜しければ、このチラシをお渡しします。何かのやくに立つかもしれません」
「は、はぁ」
「では、次の来店をお待ちしています」
「えっ、御代は」
「今日は開店記念で一杯無料ですので、御代は良いです」
「そうですか。ありがとうございます」
男はそれを言って店を出た。すると、少年は胡蝶に訪ねた。
「良いのか、刺されたんだぞ」
「良いさ、そんなに深くないし、それに」
「それに?」
「あの人は答えを得たんだから」
「そうかい。なぁ」
「ん」
「俺、今、無職なんだ。ここ今日開店なんだろ?ならさ、俺を雇ってくんねぇか」
少年かそう言うと、胡蝶はなにも、言わず奥に行った。
「お、おい、って」
奥の胡蝶から少年に何か、投げられた。それは、胡蝶が着てる服に似ている物だった。
「上が、俺の暮らしてる部屋がある。その一室は開き部屋だ。そこで寝泊まりしてくれ」
「えっ?」
「後、家賃は給料から引いとくから」
「お、おい」
「あとは、そうだ名前は」
「は、陽だ」
「陽」
「なんだよ」
「よろしくな」
「あ、あぁ」
胡蝶はそう言うと、奥に行った。
「おい、客は!!って、え」
陽はさっきサラリーマンが居たところを見ると、そこにはサラリーマンどころかグラスも無かった。最初からなにも無かったかのように。