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「すいません、もう一度聞かせてもらっていいですか?」
「隣国の魔王に手紙を届けてほしいのだ」
僕の知っているふぁんたじーな物語との差にしばらく言葉を失っていると、王妃がニコニコと笑みを浮かべながら
「この人と魔王さんは幼馴染みなんですよ」
などと言うが、そんなことは今は要らない情報だ。
普通は魔王を倒すために、異世界から力のあるものを召喚し、倒してもらうとかではないのだろうか? そんなのが普通でも嫌だが。
それが、この国王がいっているのはただのおつかいだ。
さすがに役職が役職なだけに、自分で行くことが出来ないのは分かるが、それならば使いの者に行かせればいいだけだ。
というか、幼馴染みとかただの友達だ。
「もちろん、普段は使いの者に行かせている。ただ、少々困ったことになってな」
「というと?」
「使いの者が何者かに殺害されたのだ。最初は何か事件に巻き込まれたかと思ったが、手紙を持たせた使いのものだけが殺されている。それなりに腕に自信の有るものを護衛につかせたりもしたのだがな…」
思っていたより事態は深刻だったらしい。
恐らく、その手紙はそれほどに重要な内容なのだろう。
「ちなみに、その手紙の内容を聞いてもよろしいですか?」
「内容もなにも、ただの親友としてのやりとりだ。こんな事があったとか、あんなことがあったとか」
もうやだこの国王。
「それゆえ、貴殿をこの世界に読んだのだ」
こうして僕はまったく理解が出来ないまま、国王の手紙を隣国の魔王に届けるというおつかいをすることになってしまったのだった。
次回あたりから、色々と説明が入るかもです。
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