1
それは、兄さんといつもの様に学校から一緒に帰っている時だった。
突然光に包まれたかと思ったらどこか全くしらない場所に立っていた。
回りにはゲームの中でしか見たふことない、見るからに騎士ですといった格好をした人や、魔法使いですと言わんばかりにローブを着た人、そしてその誰よりも存在感を持つ綺麗なドレスを着た女の人がいた。
「あれが勇者様…」
言葉は通じるらしく周りが何か言っているのが聞こえるがとりあえずスルーしておこう。
「えっと、ここは?」
なによりもはっきりさせて起きたいことを訪ねる。
口を開いたのは、あの綺麗な女の人だった。
肩口記切り揃えられた金色の髪をし、まっすぐに僕を見るその目から、僕は目をそらすことができなかった。ちなみに、瞳の色は青色で所謂金髪碧眼というやつだ。
「とつぜんの事でもうしわけない。私はこのアスール王国のアリサと言う。あなたの名前を聞いても?」
「あ、ご丁寧にどうも。僕は岸田勇斗と言います」
「では、勇斗殿私の父があなたに話があるとの事だ。何もかもが突然だが付いてきてもらいたい」
「そこで説明してもらえるんですか?」
「あぁ。ここではしにくい話もあるのでな」
そういってちらりと後ろを見るアリサさん。何か聞かれたくない内容があるらしい。
「わかりました。それじゃあ案内をお願いします」
そう言うや否や、アリサさんはくるりと踵を返し扉から出ていく。
あわててその後を追い部屋を出る。
踏めば沈むぐらいにふっかふかの絨毯をふみしめながら、ひたすら長い廊下を歩く。
お金かけてるなぁなどと場違いの感想を抱きつつ後を追っていると、大きな扉の前でアリサさんは立ち止まった。
「ここだ」
両脇には、さっきの部屋にいた騎士? の人たちよりも頑丈そうな、それでいて綺麗な装飾もほどこされた鎧を着た人が、人の首など簡単に切り落とせそうな剣斧を持って立っている。
そんな人たちにアリサさんが一言二言声を掛けると、その人たちは小さく頷き一人が中に入っていく。
二、三分ほど待たされ中に入っていった人が戻ってくると、アリサさんがこちらを向き、
「待たせてすまない。父上の用意ができた様だ。さぁ中へ」
その大きな扉が開かれた。
真っ直ぐと続く廊下以上に質の良いレッドカーペットの奥には、数段の階段がありその一番上には金色に輝く大きな椅子が二つ。
そこに座るのは、立派な髭をもちそれだけで威厳を放つ服。
それは、間違いなく国の頂点にたつ人物だろう。
しかし、だからと言って醜く太っている訳ではなく寧ろその服の上からでもわかる鍛えられた筋肉に金色に輝く髪は実年齢より若く見せている。
そして、その横に座るの王妃だ。
こちらも若く見え、大きく開いた胸元からは豊かな胸が除いており、男ならつい視線がそちらに向いてしまうだろう。
シルバーブロンドの髪は腰辺りまで伸ばされており、ドレスの色と良くあっている。
「よくきた、勇者よ。そして突然のことですまない。私はこのアスール王国の国王を勤めるクライスだ」
階段の下までたどり着き、アリサさんが膝をつき頭を下げると国王が口を開いた。
「岸田勇斗です。それより状況の説明をお願いしてもいいですか?」
「うむ。実は我がアスールの隣には魔族の住むグライム公国があるのだが、そこにいる魔王に用があってな」
「まさか、倒してこいと?」
「いや、この手紙を届けてほしい」
「ん?」
とらあえず一話目なので、なるべく短めに。
評価や感想、誤字脱字などありましたらよろしくお願いします。