雨がもたらした奇跡
第一章「雨がもたらした奇跡」
しとしとと肌を打つ雨がやみかけた時、我が家に幸せが訪れた。
「和斗〜?ご飯出来たから早く降りてきなさーい!!」
母(安江)の声だ。
「はいはい!今行くよ!」と重い腰を上げ、和斗は足早に部屋を後にした。
すでにいい匂いが漂っていて、階段を降りる速度が速まる。
そして、リビングに着くと机の上には華々しく並べられたおかずが
広がっていた。
今日の夕食は「豚肉とジャガイモの煮物」「焼きサバ」
「白ご飯」「八宝菜」
なんとも健康に気を使ったメニューだ
「うまそ〜じゃん」
いつもはお惣菜ですまそうとする安江が
珍しく手間をかけてくれた。和斗は単純にうれしかった。
そして、妹の(かおり)と安江と和斗で食卓を囲んでいたとき
「ただいま〜」父(徹)が帰ってきた。
うちは、よその家庭よりも早く夕食をとることが多いため
だいたいいつも1人寂しく食べている徹が、今日は仕事を速くきり上げたのか
いつもより2時間ほど早く帰ってきたのだ。
そして家族4人、団欒で過ごしていた時
さっきまでやみかけていた雨が、またザァザァと音をたて降り出してきたのだ。
すると安江は「あ〜〜!!洗濯物干したままなの忘れてた!!」
と言い慌ただしく外に出た。
----------------------------------------------続く--------------------------------------------