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2-2 授業2

「よっしゃ、余裕」


「やるな、九重。おっと0,85秒…。俺もこれで終わりだ」


「うう…なんでできないんでしょう…」


俺たちは魔術実技の授業に挑んでいた。

今日の授業は「魔術の高速展開」の授業だった。

その名の通り一定の情報容量の術式をより速く完成させる技術を磨く授業だ。

この課題は「速さ」を第一に設定されているため少なめの情報量の術式が課題に使われている。

ただしこれは下限の設定であって、大きなものでも構わないのだが。

俺はもちろん術式容量下限ぎりぎりでこの課題を早々にクリアできた。

しかし不知火はいまだにクリアできていなかった。


「不知火、どうしたんだ?」


「なんだか、うまくいかないんです…」


それは少し意外だった。俺たち三人の中で「魔術師」としての技量が

一番高いのは不知火立ち思っていた。高速展開が苦手なのかもしれない。


「おい、九重。高速展開のコツとかあるのか?」


「ん?コツねえ。俺は感覚派だから何とも言えないな」


そしてこの男。ほかの魔術実技はからっきしなくせに高速展開の技術は異常に高いのだ。

その記録は0.56秒。一般的な魔術師の約2分の1だ。

その記録に驚くこともなく九重は「こんなもんかな」などとつぶやいていた。


「ただまあ訓練でも実際に使う時みたいにイメージするのは重要だよな」


たしかに魔術は己の頭の中にその状況を想像するところから始める。

その基本中の基本が帳にはいいアドバイスになったようだ。


「実際に使うように…ですか」


なにやらうなずきながら腕をふるう。

それに応じてわずかに具現子が震える。


「そうそう」


術式展開の準備に入った帳に九重は軽い感じで言う。

展開される前に震え始める具現子。地面にひかれた陣を見るにこれは……


「おい、九重。離れとけよ」


「うん?」


次の瞬間怒涛の火柱が天を貫いた。


「あっぢいいいいい!!」


すさまじい勢いで天に昇ろうとする龍のように巻き上がったそれはしばらくしてから消えた。

しかしその存在感は突如として変化した気温として残っている。


「0,70秒。合格だな」


「ありがとうございます」


そういって帳はぺこりと頭を下げる。


「さてとこれで終わりだ教官に連絡してから飯にでも行こう」


「そうですね、今日はなんでしょう」


そういって俺たちは報告に向かおうとして…


「ちょっと待て。あそこで一瞬死にかけた俺に対する何かはないのか…」


九重がひどく不満そうな視線で俺たちを見ていた。


「あ、九重さん」


「無事だったか」


俺と帳はそっけなく返す。

それを聞くと九重はげんなりしながらも返す。


「帳だって何か言ってくれればよかったのによお…」


「す、すいません」


「ああ、謝る必要はないよ。俺が一応注意した」


「一応過ぎるだろ!完成直前に言われて反応できるか!」


「うん?陣の中心にいたわりにはほぼ無傷じゃないか」


そう九重は発動直前までに陣の中心にいたにもかかわらず、

熱波を浴びる程度の距離まで離脱していたのだ。その反応速度は尋常ではない。


「そこは陣の中心を俺に設定した帳が問題なんじゃないかなあ…」


九重が言う。

そういいながらも九重は俺たちと合流して食堂へ向かった。

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