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2-1 騒動明け

二章開始です。


「廓義!」


朝の教室。九重の大きな声が響く。


「おまえ無事だったか!?」


そういって迫ってくる。その顔は安心しきって緩んでいた。


「心配し過ぎだ…ったく」


やたら近寄ってくる九重は正直言って暑苦しい。

しかし、悪い気はしないな。


「あいつら追い払ったし、首謀者は理事長に預けた。当分は大丈夫だろ」


俺はすこし話題をそらした。なんというかこの感覚はなれない。


「…結局あいつらの狙いはなんだったんだ?」


「詳しくは分からないが理事長が進めている魔法の研究成果の奪取だろうな。

俺が言った時にはすでに抜き取られていたみたいで後の祭りだったが」


しかし理事長にはその成果を守ろうといった意思はまるで感じられなかったが。


「あいつらはそれで何をしようってんだ?」


九重の質問に俺は答えをはぐらかした。


「わからないな……あいつらが目指す魔法は理事長のそれとは待ったく方向性が違うはずだ」


「詳しくは知らないけどあいつらの目指す魔法って…」


「はーい。はじめるわよ」


九重が口を開こうとしたときに姉さんがやってきた。

次の時間はHRだったか。それを見た九重は席に戻っていく。

ひとまずは終わった異常事態にもう一度も息を吐いた。







「さてとこんにちは、みんな。変わりなく過ごしているかしら?

あ、それと部活動の加入申請があったらあとで私の所へ来てね」


やはり昨日の事件に対しての説明は一切なし…か。

教師陣に口封じがされているのかもしくはだれも認知していないのか。

おそらくは前者だがどちらにしても異常事態だ。

家で確認したがニュースでそのような報道も一切なかった。

完全に隠蔽されている。


「それで今日のメインの報告があります」


まさかと思い身構えるがそれは違った。


「えっと今週末から新人戦が始まるのよね」


新人戦。名の通り新入生による対抗戦だ。


「各人の参加は自由で出場すると特典があるわけでもないけれど

現時点におけるこの学校でのレベルは知ることができるわね。

あ、けど優勝近くまでいけば商品はもらえるわよ、みんなふるって参加してね」


新人戦はトーナメント方式で行われる実戦練習だ。参加資格は一年生であることだけである。

毎年の恒例行事で一大イベントでもある。この新人戦に挑みいい成績を残すことは

エリートたちの将来のための必須条件にもなるらしい。

ゆえにこの新人戦の出場者は毎年かなり気合の入った実力者で構成される。


「一応実戦練習ということで殺傷能力の高い魔術の使用は禁止されているし、

死にはしないわよ。大けがはするかもしれないけどいい経験にはなると思うわ」


姉さんの価値観はやはりずれている。死ななきゃ安いは普通の人間には通用しない理論だ。


「詳しい資料は今配ったプリントね。興味のある子は見ておいて」


俺は手元にも回ってきたプリントにざっと目を通す。

特性の付加は禁止。殺傷の性質を持たせるのは禁止。属性の制限はなし…

などこの大会における安全性確保のためのルールが羅列されていた。


「このHRの終りに出場するかどうかの確認をするからそれまでに考えておいてね」


そういって姉さんは椅子に座って足を組む。

その姿はまるで熟練の教師のようで様になっていた。






「さてと……決心はついた?」


決心とは新人戦への出場の件だ。俺はもちろんそんなことはしない。

できるだけ厄介ことは避けるべきだ。それは昨日の一件でも学んだ。

そんな中でクラスの中から手を上げる影が二つあった。

一つは九重。もう一人は銀髪の少年だった。


「えっと九重君に文執(あやとり)君ね」


銀髪の少年は変わらずの無表情で腕をまっすぐにのばしていた。

その姿はどこか無機質であった。

そして一方の九重といえば相変わらずにやけ顔でへらへらとしていた。

そんな彼の様子にクラスの多くはただの出しゃばりだと判断しただろう。

帳は九重の立候補に踊りでたのが意外だったのかぽかんとしている。

最底辺であるはずのこのクラスから候補者が出ること自体稀であったのかもしれない。


「はい。わかりました。がんばってね。けど廓義君はでないの?」


珍しく俺への絡みがないと思っているとやはり最後にはこれである。

姉さんはあくまで姉さんだ。


「なぜ名指しなんですか…」


今までよく我慢したほうなのかもしれない。


「いってみただけっ。じゃあ今日のHRは終了ね」


姉さんは教室から出て行った。






「九重。ずいぶんと威勢よく手を挙げてたけど勝算はあるのか?」


休み時間。俺は九重の元までやってきていた。


「任せろ。ある程度のやつとならやりあえる自信があるぜ」


そういう彼の表情は本当に自信満々といった感じだ。

その様子をみて不安になったのか帳が言う。


「けどみなさんお強いですし…」


その心配は当然であったが九重には関係がないようだ。


「お?くそ―期待されてないなぁ…まあ見せつけてやるよ」


こいつの自信はいったいどこから来るんだ…

そんな印象を感じさせるほどにこいつは自信満々だった。


きーんこーんかーんこーん

鳴り響くチャイム。


「おい廓義、次の授業なんだっけか?」


「次は…魔術実技だな……」


「そうですね……」


「それか……」


三人そろって息を吐く。九重の先ほどの威勢はどこに行ったのだろうか?


「「「はあ…」」」


俺は帰ってきた平穏をかみしめながら……ため息をついた。







こんにちわ。

二章が始まりました。

今章では宣人君以外の子もクローズアップしていきたいです。


もっとうまい文章が書きたいです…

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