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6,ペンギン
「それでですね、館長さんのご厚意でふらふらっと図書館を散策していたわけです。」
「辺銀って名前なのに、暗闇大丈夫なんて、なんか裏切られた気分だよな。」
「鳥目を期待してたわけですね。先生は発想が安易です。発想が安易な人が小説を書くとべただが面白いもの。べたでつまらないもの。やけくそにでもなったのか、ハチャメチャに書かれたものの。の三パターンになってくるらしいですよ。先生は転職の危機だと思いますが。」
「鍋の残骸を箸でかき混ぜながら、こっちをみて話す辺銀はなんだか首の上と首の下で別の生き物のように見えて奇妙である。どうだ。発想が安易な人間は君をこんな風に形容することを思いつかない。」
「それが、安易だと言っているのですよ。それに僕の行動は奇妙ではありません。僕にとっては普通のことです。先生本当に転職をお勧めします。小説家から違う職業になれば僕もあなたみたいな人を先生と呼ばなくてよくなりますし。」
「お断りします。」
転職なんてもうできません。




