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アメリカーノ日和  作者: ちまる


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1/1

1:アメリカーノ

 



AM.8:20_



「アメリカーノください」



財布から小銭を取り出してレシートを受け取る。

店員さんに軽く会釈をして受け取りのカウンターへ向かうと、零れ出る小さなあくび。



「あー、ねむ」



クシでとかしただけ髪を耳にかけて、腕時計を見た。


やっべー、ちょっとゆっくりしすぎたかな__


まぁいいか_

会社のすぐ隣に建っているカフェが、わたしの性格をどんどんルーズへ変えていく。


変えていくというか、元からルーズ人間だったわ__



「お待たせ致しました」



朝から絶えず笑顔で接客する店員さんに尊敬の念を抱きつつ、アメリカーノを片手にカフェを出た。





「せんぱーい!」


「げ、」



カフェを出てすぐ、わたしの脳に「起きろ!」と言わんばかりの大きな声で話しかけてきた人間。



「__久遠くん。」


「おはよーす!竹内せんぱい!」



彼は久遠凪(くどうなぎ)。同じ会社で働く爽やかすぎるにもほどがある青年。

わたしとは全く合わない、まぶしすぎる。



「元気だねぇ、朝から」


「せんぱいは今日もコーヒーっすか?」


「うん。これが無いとわたしは不愛想になるからね」


「いつも不愛想じゃないっすか!」



がはは!__

大きく口を開けて笑う久遠青年。

遠慮にも遠まわしとは言えない先輩ディス。なんなんだコイツは。




「悪気がないのが余計腹立つねー久遠青年よ」


「その呼び方やめてくださいよ!せんぱいより子供みたいじゃないっすか」


「いや、ガキだろうが」


「もう26歳っす!」




ぷくぅと頬を膨らましてわたしのほうを見る。


コイツは自分のことどっかのアイドルとでも思ってんのか?




「普通にきもいよ?」


「えー」




いや、26歳はガキなんだよ。わたしに比べると。



右手に持ったアメリカーノを口に運びながらエレベーターを待つ。


わたし竹内笑真(たけうちえま)、今年30歳。





 


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