圧倒的な能力
相手の最後の生徒であるリサが姿を現した。
「よろしく」
挨拶をしてみたが何故か黙ったままこちらを見つめてくる。
美人って、黙ると謎の圧があるよな。
「…よろしく」
そっけない態度で挨拶を返してきた。
ここで試合開始の合図が鳴る。
ダッ
リサが最初からこちらへ走ってきた。
「水星」
小さな水滴が数多く作られて空中で静止する。
ゼクスの件があるからな。流石に自分から当たるのは避けるべきだな。
「六花」
避けながら向かう事はできないわけではない。
だが、急に動くかもしれないしな。いつでも防げるようにしておくか。
いや、リサは止まらずにこちらへ走ってくる。
そして——。
拳をこちらへ突き出してくる。
「体術もいけるくちかよ」
だが、
俺の方が身体能力は高い。
技術の差は少し俺の方が劣ってるな。
だが——。
これぐらいの差なら身体スペックで強引に有利に立て——。
パァーン!
水?だがダメージはない。
ゼクスの時みたいな痺れも無い。
身体に違和感が無い。何も無い以上能力の考察は無理だな。
「氷拳」
直ぐに終わらせる。
水星が決まったわね。
けれど今直ぐに効果が出るものでは無い。
だから、普通の攻撃もする。
「水槍」
レイだっけ?あの拳のグローブみたいなやつ。どんな能力か分からない。
この後の相手もいるし出来るだけダメージ受けずに勝つ。
水でできた槍?俺の能力と相性はあまり良く無いな。
まずリーチの差がデカい。
だが、六花で攻撃を常に防ぐ俺に確実にダメージを入れるならかなり踏み込んで攻撃をしてくるしか無い。
それなら、連撃は出来ないはず。
1撃目を避けるか防げば俺の攻撃も当たる距離になる。
ゆっくり歩いて距離を詰める。
…来r——。
ガギンッ
六花で辛うじて水槍の突きを防ぐ。
いや、速い!想定を遥かに超えた速度だったぞ。
攻撃を見てから反応してたらこれで終わっていた。
これを防いで間合いに入るなんて事は難しいな。
一度距離を取る。
だが、やるしか無——。
目の前に水槍が迫ってきている。
六花で少し攻撃の向きを逸らしながら辛うじて避ける。
「掠ったか」
リサの位置は変わっていない?槍の形が変化したのか。
なるほど!さっきの槍の速度は槍を伸ばしながら突き出す事であの速度を出していたのか。
で?
分かったから何だ?恐らく短くすることもできるだろう。それなら距離があっても高火力で連撃を行えるという事になる。
仕組みを知っても対策しようがないように見える。
「キッツイな」
直ぐに攻撃が再開され連続で一撃必殺にも見える威力の水槍がレイを襲う。
ズドドドド!
「チッ」
ヤバすぎるだろこの攻撃それにまだ、
パァーン!
こっちの水星とかいう能力の正体が分からない。というか当たらないように動こうとしていたのにこの攻撃から避けようとすると、
パァーン!
当たるんだよなぁ!
今の所は何も無いからいいが——。
違和感?
六花を全て向かってくる槍との間に置く。
ガギンッ
あっぶない。防げてよかった。
いや、そうじゃない。重要なのはそこじゃない。
体が…重い。
これが水星の能力と見て間違いない。
「やっと効果を発揮してきた」
流石にさっきまで避けていた攻撃を急に防いだらバレるよな。
「水星《発》」
パァーン!!
周りにあった水星が全て一気に炸裂する。
何を——!?
ズキンッ
痛い。頭がボーッとする。何だ?さっきまでの攻撃とは違うのか?
いや、同じ能力のはず。
「水星は目では見づらい程小さな水を炸裂させる能力。その水が服とかに染み込んで相手の動きを遅くさせる」
「それだけじゃ…無いだろ」
「説明が難しい」
「水星から放たれた衝撃は濡れている人には、体の中まで届く」
六花で防ぐ事は出来そうだが…この量で全ての方向から衝撃が来るという事は全て防ぐのは無理だな。
だが、教える必要がない情報だったはずだ。
「何で説明した?」
「制約ってだけ。効果を発揮し始めてからは仕組みを相手に伝えないと追加の水星を作れない」
なるほど。不便な点もあるんだな。
だが、逆にいえば今からは何個も作り出せるということか。
多分、これが全部じゃないな。
能力の効果は制約のことを考えればこれで全てだろうが、水星はぶつかって発動したものとぶつかっていなくても発動したものがあった。
つまりは時間差で発動に加えぶつかっても発動する能力ってところか。
時間をかければ俺はどんどん不利になっていくのか。
解決策…まず槍の対処すら出来ていないんだがな。
射程範囲に入る前に攻撃が四方八方から来る。
入ったとしてもあの速度の攻撃を無傷で防ぐか避けるのは無理だろうな。
ていうか氷に比べて水属性って優遇されすぎだろ。
氷は溶けて水になったら操ったり能力としては死ぬのに、
いや、
この水を凍らせて氷にすれば操る事は出来ないんじゃないか?
ビュッ
空気を切って音を立てながら槍がこちらに何度も迫ってくる。
無理だろ。
まず反応して避けることがまずギリギリだ。
凍らせることまで行ける気がしない。
そして魔法でできた水は本来の水とは性質が全く違う。つまり簡単に凍るかも怪しい。
せめて攻撃するところが分かれば…
「ずっと守ってばかり、戦う気は無いの?」
好きなだけ言ってきやがるな。
もうなんでもいい。出来る事はやってみないとな。
「そこまでいうならまともに当ててみろよ」
「は?」
効果はテキメンだな。結構プライドが高そうだと思って煽ってよかった。
リサは水槍を短くして構えをとる。
さぁ、六花で防ぐのは無しだ。防いだところでなんの進展もない。
場を動かすなら氷拳で攻撃を相殺する。
六花の防御は心臓以外に向けろ、
相手をよく見て確実に水槍に拳をぶつけるんだ。
氷拳の能力で槍を凍らせる。
ヒュッ
槍が迫ってくる。
当たるかどうかはギャンブル、
ガンッ
当たった。その瞬間に水槍の先端が凍り地面に落ちる。
やっぱり凍った瞬間に落ちたって事は氷になると能力の対象外のものになると思って間違いないらしい。
「え?」
リサが驚いている。
今だ!
追撃を——。
ドンッ
リサは迫り来るレイの攻撃を腕で受ける。
これを防ぐのか…。
だが、
パキパキ
腕が凍る。リサは、直ぐに距離を取り少し腕を動かす。
まだ余裕そうだな。
危なかった。
速度を上げることにかなり気を使ったこの攻撃が凍らされるなんて思いもしなかった。
でも——。
まだ、その程度じゃ私の勝ちは揺らがない。
水槍も水星も攻略すればいい。
しても勝ちに近づくとは限らないけど




