不気味な会合
第二試合は明後日行われる。サラが待機部屋へ帰ってくるのを待つ。
できれば今日話し合いを少ししておきたいな。それと、1試合目のサラの様子がおかしかったが…あれは聞いていいやつなのか?
ガチャ
「すみませぇん〜…お待たせしました…」
いつもよりも元気がない…だがさっきの試合だけでここまで追い込まれるものなのか。なら、あまり詮索はしないほうがいいな。あと、今日は休ませるか。
「お疲れ様。次の試合は明後日だ。今日は体を休めて明日朝の10時に教室に集まって話し合いをしようと思うがいいか?」
「私は大丈夫ですぅ…」
「僕も大丈夫だよ」
2人とも了承してくれた。じゃあせっかく休むために話し合いを明日にしたのだ。早く寮へ戻って休むか。
「じゃあ解散ということで、俺はもう寮へ帰ろうと思う」
いつもならサラの様子を見ただろうが俺は俺でそれどころではなかった。
初めてちゃんと殺されたな。リストバンドで蘇生されたとはいえあれは痛かった。できればもうしたくないな。
寮へ戻るとまだ誰も帰ってきていないようだった。
ベッドへ倒れ込み
気絶するように俺は意識を手放してしまった。
その夜この国の端にある廃墟の地下には指名手配されている犯罪者が集まっていた。
「遅い…時間通りにくるやつはいないのか?」
強面の男が椅子へ座り、入り口のドアを見つめ呟く。
するとギギーと音を立てドアが開かれ人影が中へと入ってくる。
しっかりとした青年で一礼してからこちらへ向かって進んでくる。
「すみません。どうも面白い本を見つけまして、地獄が舞台の物語ですけど読みます?」
「いらない」
「誰かが召集かけないとみんなが集まることとかないんだから読んであげなよ〜」
白銀に光る銀髪の髪を払いゴスロリを着たシェリーと名乗る少女が楽しそうにやってくる。
「じゃあお前が読んでやれ」
「あっはは〜wあんなつまんなそうな本死んでもやだよ〜」
「は?」
「そんなに怒んないでよ〜。泣かせるよ?」
「じゃあ俺はお前を殺してやるよ」
「きゃー!ルイス君かっこいい〜!」
怒るルイスの手には本が開かれものすごい勢いでページが捲られていく。
「物語生成、世界選択」
地面に亀裂が入り炎が噴き出る。突如炎で周りの地獄のような風景が広がっていく。
不意にドアが開き少女が部屋に入ってくる。
「お久しぶりです。…ってどんな状況ですか!?」
「あっ!リリィちゃん久しぶりー!」
「お前は挨拶よりも自分の心配をしとけよ。登場人物生成モデルケロベロス」
三つの頭をした獰猛な犬の形に炎が変化していく。
そしてシェリーに向かって走り出す。
「無価値な烙印」
ケロベロスがシェリーに噛み付く。
その瞬間三つの口から炎を吐き出して
シェリーは火柱に包まれる。
「もう少しで洋服が燃えちゃうところだったよ〜」
ケロベロスは追撃をしようとするが——。
「2人ともそこまでだ」
ずっと静観していた男が止める。
「え〜、ここからが面白いとこなのにー」
「全員集まったんださっさと話を始める」
「まだ、アンノウン君だっけ?がきてないよ」
シェリーの言葉が終わると同時に血に塗られたナイフを持ったまま満面の笑みで男が入ってくる。
「ごめんね友達を増やすのに夢中で少し遅れちゃったよ」
「まぁこいつも反省してるから許してやってくれ」
「でももう大人なんだから時間ぐらいちゃんと守らないと」
アンノウンと呼ばれた優男のような見た目の青年は1人で会話を進めていく
「全くアンノウン君はよくわからないキャラしてるから話しずらいよ」
シェリーは「ブー」と口を膨らませ、文句を垂れる。
しかし、それを無視して強面の男が話し出す。
「今回は俺の呼びかけに応じてくれてありがとう」
「そういえばロキ君の呼びかけとは珍しいですね」
さっきまで怒り狂っていたルイスももう落ち着いたようで話に参加している。
椅子に座り静かに話し始める。
「今回はお前らに協力して欲しいことがある」
部屋が静まり返りロキの言葉だけが微かに反響する。
「この国にある学園を襲撃する」
「あー、あの王立魔導学園でしたっけ?」
「あぁそうだ」
「でもさー今回私も行ったけど勝手に侵入しても誰にもバレなかったし欲しいものがあるなら盗めばいいんじゃない?」
「いや、闘技場はそれほど貴重品が少ないから警備が緩かっただけだ。その証拠に生徒が戦う場所や待機部屋付近は近づくとそれだけでバレるセンサーのようなものも多くあった」
「私は、出来れば人を殺したりはしたくないからなー」
ずっと黙っていたリリィも話に参加し意見を伝える。
「それに盗賊団やら思想の強い犯罪者集団も居たりするみたいだしそっちにお願いすればいいじゃん。私たちは別に仲間ってわけじゃないし」
「今回はバレること前提の作戦だからな。ほぼ確実に戦闘員などを集めても数で負ける以上圧倒的な戦闘力を持っているやつかダラダラと時間を稼げるやつの方が欲しい。だからお前らに協力して欲しい」
「私はパスかな〜やりたいことが山積みだし」
「僕は行こう。いろんな人を見れば面白い話も思いつきそうだ」
「私も参加します。でも、あまり人殺しとかはしたくないので戦闘は避けたいですけど」
「僕は…パスかな」
「今日できた友達ともう少しちゃんと話しておきたいんだ」
「わかった無理強いするつもりはないからな。今回はリリィとルイスが協力するという形で作戦を立てる。作戦ができたら再び呼ぶ」
立ち上がると椅子が少し軋む。
「じゃあ俺は帰らせてもらう」
こうして学園初の大規模なテロが行われようとしていたのだ!
「何言ってるの?シェリー」
「いやーこういうのはナレーション入れとくべきかなって思って」
と、リリィとシェリーは呑気に話していた。
そんなやりとりが、暗い闇の中行われていた。
しかし、そんなことは知るよしもなくレイ達は、2回戦も難なく突破し準決勝の作戦会議を立てていた。
「クラスメイト達が集めてくれた情報をまとめるぞ」
レイは紙にまとめてある相手の情報を話していく。
「まずはリサ。相手クラスで現在1番成績が高い人だ」
写真もあったようで見てみる。
すると黒髪のロングの髪型をしていて、
近寄りがたいような真面目な表情をしている。
「なんか真面目そうな人だね」
ゼクスは写真を覗き込みながら話す。
「綺麗な人ですね」
女性であるサラも思わず感嘆するほど顔立ちは整っている。
もっとも、サラも十分美人だと思うが。
「この人は遠距離も近距離も両方いけるタイプらしい」
「凄いですぅ」
「あぁ、まぁバランスの良い戦闘スタイルだな。真面目だが所々思い切りがいい感じに攻めてきたりもするらしい」
「他にも全体的にバランスの良い生徒で構成されているな。風属性のサクヤと土属性のカイウス。全員とも遠距離も近距離もいけるタイプだ」
「えーと、リサさんの属性はなんですか?」
「リサの属性は水と風だと聞いている」
「じゃあ複数持ちってことかな」
ゼクスは情報が少なくて属性が発覚していない可能性も含め考えている。
「一応まとめると今報告されている情報ではこの二つだ」
「これ以上あるかもしれないがその場合はその時対応するしかないわけだね」
「あぁ、今はある情報で能力を考察して対応することが最優先だ」




