第19話 ダンジョン探索開始
「よし、それじゃあ自己紹介からしましょう!
僕は赤石要人です!年は17歳で、能力は《赤い番人》で攻撃的なタンクって感じです!
所属クランはなくて、趣味は筋トレ、憧れの人は神田さんです!よろしくお願いします!」
赤石くんは、短い緋色の髪の毛をワックスでつんつんに逆立たせ、盾に長くて大きい盾を持っている。
もう片方の手には、黒い警棒のような武器を持っていて、重厚そうな鎧も来ている。
なんだろう…SAT…だっけ?特殊警察官って感じの雰囲気だ。
彼は手元に持っているメモ(天空の翼の鷹宮さんからもらった自己紹介シートみたいなやつ)を見ながら大きな声で挨拶した。
「観世オモナ、年は14歳、能力は内緒だけど、回復、バフ、デバフとかが使える支援系ジョブだと思ってほしい。所属クランは《未開敷蓮華》、趣味は寝ること、憧れの人…は特にいないかな、よろしく」
背の低い男の子だ。目に少しかかる程度で切りそろえた金髪に、黒いメッシュのような髪、襟足は長くウルフカットのような髪形をしている。
黒をベースにした着物のような着物に、金色が入った袈裟のような服を着ている。
なんだろう、改造した僧侶の服?というのだろうか、珍しい服装だ。
武器は特に持っていないようで、両方の手首に白と黒の大きなブレスレットをしている、これが武器だろうか。
「水瀬いお、年は16歳、能力は私も秘密だけど、水魔法が使える。所属クランは《蒼天の矛》、趣味は読書かな、憧れの人は蒼井さん、よろしくね」
月明かりを落とした水面のように、深い紺に淡い水色が溶け合うグラデーションの髪だ。歩くたび髪先が透明にほどけ、まるで水滴が光に変わって散るように見える。
彼女の衣は、淡い水色の布に銀糸を織り込んだ水紋のローブで、腰には透明な晶石で作られた護符が揺れ、袖口にはシャボン玉のような螺鈿色の模様があった。
今日も足元にみゃおちゃんがすりついており、肩にはひよこのような水の召喚獣がいた。
…かわいい。
「僕は芽吹慧です。年は16歳で、能力は秘密にさせてください。格闘系の攻撃が得意です、所属クランはなくて、趣味は…訓練ですかね?憧れの人は、支部の鉄心さんです」
僕は淡い若草色のくせっけに中肉中背の体格。鍛えているからか、筋肉はあると思う。支部から支給された革の胸当てやブーツを着ている。もはや支部の職員かなっていうほど支給品だけの装備だ。
…いや、お金ないから仕方なくて…。
「俺以外みんな能力秘密かよ…俺も秘密にした方がいいのか…?いや、まぁそんなことはいいや。
よし!みんな年も近いみたいだし、敬語は無しでどうかな!戦闘中はできるだけ短いやり取りの方がいいだろうし!」
「一番上の年長者がそういうなら、僕はいいと思う」
観世くんはあんまり気にしていないようで、空を飛ぶ鳥を目で追っている。
「私もそれで」
いおさんも同じようで、足元の猫を撫でている。
「あ、僕も賛成です!」
「いや、言った傍から敬語だな、芽吹!」
赤石くんは笑うと、ほかの人もつられて笑いが少しこぼれた。
本当に恥ずかしいけど、場が和んだようで良かった…意図したわけじゃないけど。
「ご、ごめんそうだよね、よろしく!」
「よし!俺がタンク、観世がヒーラー、水瀬が魔法アタッカー、芽吹が近接アタッカーか…バランスがいい編成だな!今日は駆け出し初心者向けのダンジョン《栗原ダンジョン》らしい。みんな天空の翼クランと一緒に探索したよな?」
一同こくりとうなづく。
「よしそれなら詳しい説明はいらないな。とりあえず低階層で少し戦闘して、連携の訓練をしてみよう!」
そういった感じで、僕たちは《栗原ダンジョン》に移動した。
移動中、僕と赤石くんが天空の翼との訓練の感想を言ったり、オモナくんといおさんが途中で自分の感想も言ったりと、和やかな雰囲気の移動になった。
ダンジョンの入り口は、大きくて四角い黒い虚空のようなものだ。
原理は不明だが、この黒い空間を進むと、気づけばダンジョンの中にいる形だ。
ダンジョンには自然系、都市系、閉鎖空間系、広域空間系など様々な種類がある。
この《栗原ダンジョン》は自然系で閉鎖空間のダンジョンになる。
つまり洞窟のような空間で、基本的に一本道の構成だ。
道に迷うこともないし、足元もそんなに悪くないし、出てくる魔獣も強くない。
まさに初心者向けのダンジョンだ。
僕たち四人は装備や荷物を確認して、さっそくダンジョンに足を踏み入れた。
ダンジョンの中は少しヒヤッとしていて、ほんのり明るい光が空間全体を照らしている。
電気も火もないのにどうして明るいんだろうか。不思議だ。
「よし、俺が先頭を進んで、次に観世、水瀬、最後尾に芽吹の順で行こう。このダンジョンは一本道で前からの敵だけを注意すればいいが、一応みんなも警戒してくれ」
「「「わかった」」」
僕たちはダンジョンをゆっくりと進み始めた。
―—綺凛(作者)から皆様へ――
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