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原初の種〜落ちこぼれの僕がダンジョン探索で成り上がっていく話〜  作者: 綺凛


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第18話 新人探索者チーム結成

 

 神田さんとの訓練は苛烈を極めた。

 体力がなくなったら休憩し、ある程度回復したら神田さんに挑みかかる。


 疲労と、スキル《力の葉脈》の反動で本当に動けなくなったときは、ダンジョン産のアイテムで作った回復薬を飲まされ、強制的に体力を回復してから模擬戦を再開した。


 倒れても倒れても回復して戦う。


「いいか、筋肉と同じだ。酷使して回復してまた酷使する。そうすることでスキルも体力もすべて向上する。いいか、スキルは筋肉だ、体力も筋肉だ。すべて筋トレと同じように鍛えれば君も一流の探索者になれる。」


 癖が爆発し、興奮状態のまま訓練をしているとき、神田さんはいつもよりかなり饒舌になる。

 特に鍛錬というか、筋肉関係の話になると途端にいっぱいしゃべりだすから少し怖さもある。


「よし、今日はここまでにするか」


「は…はい、ありがとうご、ざいました…」


 僕は昨日と同じように大の字に倒れこんだ。

 連日、過酷な訓練が続いているが、確かに強くなっている実感があるので、文句は言えない。

 そもそもAランク探索者に直接指導してもらう機会なんてないのだから、どんな訓練でも心から感謝すべきだろう。


 たとえ、2日連続で変な人だとしても、感謝するべきだ。


「ではな」


 訓練が終わりいつもの無口クールになった神田さんは訓練室を後にした。

 同じ人とは思えないほどの落差がある。


 はぁ…今日も…このまま寝てしまいそうだ。

 この最適な温度に管理された訓練室は、正直寝るにはいい環境だ。

 こうやって疲労感に包まれたまま動けないでいると本当に寝てしまいそうになる。


 しばらくウトウトして体力を回復させていると、訓練室の扉が開き誰かが入ってくる気配がする。


 目を向けると昨日と同じように、水瀬いおさんが部屋に入ってきた。


「あれ、今日もここで訓練してたんだ」


「あ、うん、そうです。…ちなみに、水瀬さんはどうしてここに?」


「私、いつもここの訓練室で寝てるから」


「え、そうなんですね…」


 確かに寝るには最適だけど、ここは普段上級冒険者で予約が殺到しているはず。

 それなのに寝るためだけに使えるとは…大手クランの力なのだろうか…


「…ここの訓練室は蒼天の矛が出資して作った。訓練室はいくつもあるけど、ここは独占して使えるの。この訓練期間は蒼天の矛が天空の翼に訓練室を貸しているから」


「あ、そうだったんですね!すいません、何も知らなくて」


「別にいい」


 水瀬さんは持っていたカバンから本を取り出し、昨日と同じく巨大スライム(すうちゃん)を召喚して、寝そべりながら本を読み始めた。


「あ、僕は邪魔になるしここで失礼しますね」


「…?ここで寝ていかないの?支部の部屋より気持ちいいよ、この部屋」


 水瀬さんは当然僕が今日もここで寝るものだと思ってるようだ。

 天然というか、無防備というか…


「いや訓練終わりで汗臭いですし、邪魔になったら悪いかなって…」


 水瀬さんは少し考えてから、スライムごと少し距離を離れた。

 え…臭かったかなと考えていると、水瀬さんが空中に手をかざした。


「さかな~」


 水瀬さんの気の抜けたような声とともに、僕の頭上に大きな水の塊ができ始める。

 そして塊から一列で小型の魚型の召喚獣が現れた。


 魚の群れはそのまま螺旋階段のように僕の方へ向かって伸びていく。


「じっとしててね」


「うわぁああああああ!!!」


 魚の群れは急に勢いをまし、僕の体にかすめるようにどんどんぶつかってくる。

 僕はその威力にあらがえず、回転しながら水に覆われていく。


「え~っと…シャンプー…あった」


 水瀬さんはカバンからシャンプーやリンスを取り出して、それを水の膜でくるんで操作し、空中の水の塊に混ぜる。

 そうするとシャンプーやリンスが混ざった魚が表れて、それも突進してくる。


 人間洗濯機のようなものだろうか。

 強制的に洗われることになるなて、生きていて思いもしなかったな…


 そう思いながら、なされるがまま洗浄された。


「はぁ…はぁ…」


「ん、きれいになったね」


 水瀬さんはどこか得意げな顔で僕を見ていた。


 途中はびしょぬれだった僕だが、洗い終わったあとは水の魚たちが体中の水を吸い取って、訓練室の脇にある排水溝へ飛んで行ってくれたので、もうドライヤーの後くらい髪も乾いている。


 なんて便利なんだ水魔法…肉弾戦しかできない僕と大違いで、いろいろと器用なことができそうだ。


「ありがとう水瀬さんすっきりしたよ」


「よかった…いおでいいよ、同期だし」


「え、あ、うん、ありがとう、いおさん」


「うん」


 ふふっと、表情を緩めて笑う彼女にどきんと胸を打たれる。

 本当にきれいな人すぎて心臓に悪い…


 そのあと、昨日と同じようにいおさんにスライムを出してもらって泥のように寝た。


 その次の日は、氷魔法使いの片桐さんと訓練したが、魔力の基本的な使い方というか、戦いのときに気を付けることとか、座学が中心の訓練で、今まで一番平和だった。

 そうして訓練最終日、僕たちDランク探索者と天空の翼のメンバーが再度集まった。


「さて、今日まで個別訓練お疲れ様だったね。みんな初日から見違えるほど強くなったんじゃないだろうか。僕は個人訓練に混ざれなくて申し訳なかったけれど、みんなの活躍は他のメンバーからも聞いているよ。」


 クラン”天空の翼”のリーダー、鷹宮翔さんだ。

 すらっとした長身に茶髪の短い髪、もう40歳を過ぎていると思うが、20代と言われてもわからない見た目をしている。

 鉄心さんと同期らしいが…鉄心さんは見た目のままの年齢なんだけどな。


「今日、初日のように集まってもらったのは、訓練の変更があるからです。実は今日から、すべてのダンジョン探索が解禁されるんだ。」


「「「「…!!」」」」


 1か月以上、一部の安全が確保された初心者ダンジョンを除き、上級探索者以外はダンジョン探索が禁止されていたが、ようやく解禁されるのか。


「そういうわけで、今日からはダンジョン探索を踏まえた訓練と行こうと思う。メンバーからの評価を聞くところ、君たちはすでに十分な戦闘能力を持っていると聞いている。あとは実践で経験を積むことが重要だと考えているんだ」


 久しぶりのダンジョン探索…

 危険があったとしても、やっぱりわくわくしてしまうのはどうしてだろうか。


「それでは、君たち4名を臨時のパーティとして、ダンジョン探索で訓練といこうか」


「「「「はい!」」」」


 この訓練で培ったことを早く試してみたいという気持ちがあふれてくるようで、周りを見れば、みんな同じ気持ちだとわかった。


 いよいよダンジョン探索が始まる。



―—綺凛(作者)から皆様へ――


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