第16話 進化
「あの、水瀬さん…?」
おそるおそる巨大スライムに近づきながら声をかける。
巨大スライムは僕が近づいても特に大きな動きをしないようだ。
無理やり起こすのもなぁ…
どうしようか悩んでいるうちに、水瀬さんは「うぅ~ん」と言いながら寝返りを打ち、仰向けに寝始め
た。
深い藍色に水色の光が反射する綺麗な永井髪だ。
髪から顔は白くつややかで、芸能人でもモデルでも見ないほどの美貌だった。
彼女の呼吸に合わせて、大きなスライムが上下している。
いや、これは召喚獣のスライムを言っているのであって、決して彼女の胸部を見ていだいた簡素ではなくて、等と一人で言い訳をしていると、水瀬さんが起きたようで、ぼんやりとした顔をしながら、僕を見た。
「あ…起きたんだね。何もないようでよかった」
「あの、僕、何があったんですか?突然気を失って…」
水瀬さんは何かを悩んでいるようなそぶり…いや、ぼーっとしているのか?わからない顔で固まる。
「……眠いから、また明日ね。あ、あなたの分もすうちゃん出してあげる。」
水瀬さんはまた丸くなりながら、指を軽く振ると、僕の足元から中型サイズくらのスライムが現れる。
「それじゃ、おやすみ」
「あ、はい、おやすみなさい」
そのまま彼女は小さく寝息を立て始めた。
新しいスライム君はぽよんぽよんと小さく跳ね、僕に乗れと言っているようだった。
「…失礼します」
スライムに乗ると、柔らかく弾力のある感触が返ってきた。
体を横にすると、まるで沈むようにゆっくりと体が埋もれ、しかし、しっかりと体を支えてくれる。
なんて気持ちいいベットなんだ…これが夢のウォーターベット…!!
そうやってすぐに意識が夢に落ちていった。
パシャンという音が聞こえて、ふと目を覚ますと、水瀬さんが巨大スライム解除して、水に戻しているところだった。
僕もそれを見てすぐに起き上がると、僕がベットにしていたスライムも水にもどった。
あぁ…愛しい僕のスライムベット…君のことは生涯忘れないよ…
「おはよう、芽吹くん」
「あ、おはようございます。水瀬さん」
水瀬さんはうーんと伸びをすると、軽くストレッチを始めた。
今は…午前7時か…いつもより遅いけど、訓練は昼からだから余裕があるな。
僕も一緒にストレッチを始めることにする。
昨日からのごちゃごちゃであまり気にしてなかったが、水瀬さんは少数精鋭の大手ギルド“蒼天の矛”のメンバーだし、見て盗める技術は学んでいくべきだ。
10分程度ストレッチをすると、水瀬さんは立ち上がって、訓練室を出る方へ向かう。
すると途中で足を止め、こちらに向き直った。
「そういえば、体は何ともない?」
「あ、はい、大丈夫です。」
水瀬さんは、良かったね。と言って、訓練室を後にした。
昨日、水瀬さんが来てからの記憶があいまいだ。
しかし、きっと彼女が何か僕を助けてくれたのだろう。
さっきストレッチした感じは特に体の違和感がなかったので、今は問題ないと思う。
とりあえず身体機能的には問題ないかな。次は魔力の確認をしておこう。
胸の中心に意識を向ける。
「…?なんだ?」
いつものスキル《原初の種》と違う感じがする。
なんというか、普段から感じていた違和感というか、制御できないようないびつさ、不完全さみたいな感覚が薄れている。
すると脳内に突然言葉が流れてくる。
『スキル《原初の種》がスキル《原初の芽》に進化しました。
―スキル最適化中…完了しました。これより、以下の機能が解放されます。
1. 森羅万象(効果が大きく制限されています)
2. 力の葉脈(効果が大きく制限されています)
3. 魔力気孔(効果が大きく制限されています)
4. 超再生(効果が制限されています)
5つ目のスキル以降はロックされています。』
「え、なに…?なに、今の…」
声は突然ブツッと途切れたように終わった。
森羅万象…?何の効果があるんだそれ…?今は訓練室で、周りに被害が出ることもないし、とりあえず使ってみようかな。
「スキル《森羅万象》」
途端に脳内にナビゲーションウィンドウが現れたような感覚がする。
森羅万象の効果が知りたいと脳で思い浮かべると。
『森羅万象…一部効果が制限されています。現在できることは、次のとおりです。
・鑑定(相手の強さ、武器の強さ等を大まかに判断できます)
・感知(魔力の流れ、力の流れを理解することができます)
・補助(この機能はロックされています)
・知恵(この機能はロックされています)』
知らないこと知ろうとしたら、知らないことが増えた…
ただ、感知については意識した瞬間、世界が変わったと感じるほどの効果があった。
戦闘時のように構えをとると、自然と最適な力の入れ方、最適な足の位置、移動するときに力を入れるべき場所などが自然と理解できた。
これをすぐに戦闘に活かすのは慣れが必要で難しいだろうけど、恐ろしいほどのスキル効果だと思った。
次に壁にかかっていた訓練用の剣を手に持ち、鑑定を使用する。
【訓練用の剣】
・攻撃力極小増加 ・耐久力極小
…とりあえず、訓練用の剣がすごく弱いことが分かった。
これを壊さずに戦闘で使っていた美奈さんもすごいことがわかった。
自分はもしかして、チートスキルを授かったのだろうか…
自分が最強になるなんて、夢にも思わなかったけど、これなら世界最強にもなれるという確信があった。
よし、このままスキル検証をつづけて、午後の特訓に臨もう!
僕は訓練場で、陽が真上にくるまで時間を忘れて訓練を続けた。
―—綺凛(作者)から皆様へ――
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