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5話 初起動

 ネルの<マジカルルカファンタジー>初心者講座を受け終えたサクは頭がパンクしかけていた。


「い、今のが初心者向け講座だったのか? 多すぎんだろ……」

「うん、もちろん。むしろ簡単に覚えられることだけ選んで教えたよ? まぁ、サク君はゲーマー用語とかも全然分かってなかったし、それを詰め込んだせいで量が増えちゃったのはあるけど」

「普段ゲームをしないからな~。でも、助かった。ありがと。頭痛いけど、おかげでなんとなくVRMMOについて理解できた」

「力になれてよかったよ! じゃあさ、そろそろあれ見せてよ」

「へ? あれって?」


 何を求められているかさっぱり分からないサクは間抜け面になる。


「ゴーレムだよ、ゴーレム! 気になって仕方ないもん!」

「あーあれか。いいよ。ほら、よっと」


 何を求められているのか理解したサクはアイテムボックスからリトルストーンゴーレムを取り出した。


「ぱっと見はただのでかい石なんだよな~」

「顔とかもなさそうだし、サク君の言う通りだね。アイテム扱いなら誰でも詳細を確認できるはずだから私も見てみよっと」


 ――<リトルストーンゴーレム>――

 小型のストーンゴーレム。

 通常のストーンゴーレムよりパワーが弱く、体が脆い。

 ――――――――――――――――


「おお~、確かにリトルストーンゴーレムって書いてあるね! でも、説明二行しかないんだ。このゲームにしては随分と不親切だなぁ」

「説明が二行って言ったか? 俺にはもっとたくさん情報が見えるけど」


 ――<リトルストーンゴーレム>――

 小型のストーンゴーレム。

 魔力を満タンまで補充することで動かすことができる。

 知能はないため指示をした行動しかすることができない。

 通常のストーンゴーレムよりパワーが弱く、体が脆い。

 合成によりスライムの特性を一つ受け継いでいる。


 魔力保持量:0/50

 耐久値:100/100

 特性:頑丈Ⅰ、弱者の証

 スキル:ストーンバレット

 ――――――――――――――――


 サクは自身が得た情報をざっくりとネルに伝える。


「もしかしてアイテム扱いで誰でも詳細を見られると秘密がだだ洩れだから、秘匿される仕様みたいなのがあるのかな? だとしたら<合成>ってかなり特別扱いされてるんだね。流石はレアジョブに付随するスキルだなぁ」


 レアジョブはステータスをランダム設定というハイリスクな方法で設定した者の中でも、運に恵まれたごく一部の者が就くことができるもの。公式から明言されているわけでもなく、実際にレアジョブ持ちが公開している情報も決して多くないが、多くのプレイヤーたちの間では入手難度に合わせた強さをしていると噂されている。


「特別扱いするなら、武器も装備させてくれよ~」

「確かにね。武器装備不可って結構な縛りだもん」


 サクがレアジョブを得た代償として武器装備不可というデメリットを背負ったのはどうしてなのか。それほどの制限をかけなければならないほど強いジョブなのか、はたまた製作者のいたずらごころか。それを知るのは、今のところこのゲームの運営のみである。


「まぁ、文句言ってもしゃーないか」

「そうだね。とりあえずゴーレム動かしてみない? 魔力を補充すれば動くんだよね?」

「って、書いてあったな。でも、魔力保有量ってのMAX50なんだよな~。その数字分MP使うんだとしたら、俺さっき合成使ってMP40しかないから無理だな」

「それって私のMPで補充したりできないのかな? MP回復アイテムを持ってるからあげてもいいけど、先にサク君以外でもできるのか試してみようよ」

「いいのか? 助かる。魔力を補充するためにはっと、ふんふん。手で触れてMPを注ごうと考えるだけでいいらしいぞ」


 魔力の補充方法を聞いたネルは早速リトルストーンゴーレムに触れる。そしてMPを流し込むイメージをする。


 ――――ゴゴゴゴゴゴゴ。


「おぉお!?」


 低い起動音が響く。

 そして1メートルほどの石に複数の亀裂が入り、変形していく。二本の足がかたどられて石が立ちあがる。次に二本の腕のようなものまで生み出された。最後には四角い頭のような部分が形成され目と思われる部位に水色の光が灯った。


「す、すごい! ほんとにゴーレムだ。さっきまで石だったけど、他ゲーにも出てくるザ・ゴーレムって感じの見た目になっちゃったよ!!」


 ドスンドスン。

 サイズの割には大きな足音を立てながらリトルストーンゴーレムは数歩進んだ。そしてサクの目の前まで辿り着くとじっと動かなくなってしまう。


「お、俺が合成で作り出したってちゃんと理解してるのか? そう思うとちょっとかわいいかもしれないな」


 サクは特に意味もなくリトルストーンゴーレムの頭を撫でた。

 心地良いひんやりとした感覚が伝わる。


「よし。命令すれば聞いてくれるんだったら、せっかくだし敵と戦ってみようぜ。ネル、町の外に出れば魔物ってのがいるんだったよな?」

「そうだよ。この町の周辺の魔物相手なら私でも対処できるから安心してゴーレム性能を試してくれていいよ!」

「ネル先輩がち頼りになるなぁ~。じゃあ、いっちょ魔物狩り行くか~!」

「レッツゴー!」


 再びリトルストーンゴーレムをアイテムボックスに収納した二人は町の外へと向かう。わくわくしている二人の足どりは非常に軽快だった。




読んでいただきありがとうございます。

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これからもよろしくお願いします。

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