3話 初めての合成
文量少ないですが、もう一話できたので投稿しておきます!
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「使うぞ?」
急に興奮し始めたネルの勢いに押されて、サクはスキルを使うと決めた。
<合成>の詳細説明だけではあまり内容をイメージできていないようだが、スキルはそれでも問題なく使用できる。感覚的にそうなるようにゲームが設計されているからだ。
「うん、任せた!」
サクはMP10を消費して合成を発動させる。
「おお~、こんな感じなのか」
「ちょっと神秘的かも!」
奥の見えない真っ黒い渦と真っ白い渦が二人の目の前に現れた。
『おい、あれなんだ?』
『魔法か?』
『あんなの初めて見るんですけど!!!』
『なんかやばそうだな。ちょっと離れるか』
『絶対あれ珍しいスキルじゃん!!! 声かけちゃおっかな~』
二人が合成の渦を見ている間に周囲がざわつき始めた。
「あ、サク君これやばいかも」
ネルは周りの反応に一早く気づき、心の中でこんな場所でスキルを使ってもらうんじゃなかったと後悔した。
「え?」
「一旦、この渦消そう!」
「どういうことだ? まぁ、やってみるけど…………あ、無理だ。何か放り込まないと消えないっぽい」
「えー! じゃあ、とりあえずこれとこれ!!!」
渦を消せないと分かるとネルは自身のアイテムボックスで余らせているスライムの魔核とジョブの都合上自身がよく使用するため大量に所持している石を取り出す。そしてそれぞれを黒の渦と白の渦へと投げ込む。
次の瞬間、ガラガラなどで当たりを引いたような音が響き渡る。
『なんかすごい音なってるけど』
『あいつらプレイヤーじゃなくてNPC? ガラガラ抽選でもしているのか』
『当たりがちゃんと入ってるんだったら、うちらもチャレンジしてみる?』
『あほども、あれのどこがガラガラ抽選に見えるんだよ!!!』
「も~、音まで鳴るなんて聞いてないよぉー! 余計目立っちゃってるうう!!!」
――ピロロン!
「あ、なんか出てくる?」
スキル所有者ゆえだろうか。サクは直感的にこれからアイテムが排出されることを理解する。
「なんだ? これ」
二つの渦が重なり合い最終的に消滅する。
そしてその場にはサクの腰くらいまでの大きさの石のようなものが現れた。
――<リトルストーンゴーレム>――
小型のストーンゴーレム。
魔力を満タンまで補充することで動かすことができる。
知能はないため指示をした行動しかすることができない。
通常のストーンゴーレムよりパワーが弱く、体が脆い。
合成によりスライムの特性を一つ受け継いでいる。
魔力保持量:0/50
耐久値:100/100
特性:頑丈Ⅰ、弱者の証
スキル:ストーンバレット
――――――――――――――――
所有者であるサクにはアイテムの詳細が見て取れた。
「なんかゴーレムらしい!」
「ゴ、ゴーレム!?」
「しかも足遅いけど、攻撃スキルっぽいの持ってるぞ! こいつがいれば武器装備不可でも戦えるかもしれん!!」
サクは武器装備不可による攻撃力不足を懸念していた。だが、このゴーレムを上手く運用できたならその問題を解消できる可能性がある。
「やったーって、一緒に喜びたいけど、後にしよ!! 周りみて? 人だかりができてきてるし、じわじわと距離詰められちゃってる」
ネルに言われてサクが周囲を見渡すと確かに多くの人が集まっていた。中でもプレイヤーらしき数名が何をしたのか聞き出そうと、近づいてきている。
「わかったけど、こいつどうする?」
「アイテム扱いならアイテムボックスに保管できるよ!」
サクはすぐにネルからアイテムボックスの操作を教わり、ゴーレムを収納した。
「よし! 逃げるよ、サク君」
「おう!」
『あ、あいつらどこかへ行っちまうぞ』
『待て! 何したら教えてくれー!』
『赤髪の子かわいかったなぁ』
二人は数名のプレイヤーから静止するよう求められるも、無視してその場から離れたのだった。
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