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21話 ボス戦を見据えて

 サクの魔法スキル<スピードアップ>を実戦投入したブレイドウルフ戦。効果はあるが、ストーンゴーレムが速さ自慢の敵を捉えられるようにまで能力値を引き上げることはできないということが分かった。


「あ、山賊モンキー発見!」


 そして現在、一行はナツが次に倒すならこいつだと薦めた山賊モンキーという魔物を見つけたところである。特にそういったスキルは持っていないのだが、なぜか魔物を見つけるのが上手いネルが第一発見者だ。


 山賊モンキーの特徴は武器や防具を装備しているということ。稀にそういった魔物が存在するのだが、サクが遭遇するのは初めてである。

 身長1メートル前後の猿が装備を身に着けているため、舐めてかかるプレイヤーが多い。


「説明した通りあれの親玉がこのエリアのボスだから。子分である程度慣れれば楽よ」


 ナツは過去にこのエリアのボスを倒したことがある。その経験から山賊モンキーを次のターゲットにしようと口にしたのである。


「見たらわかるけど、ブレイドウルフ以上の数で群れを作ってるから私とネルも最初から戦うわよ」

「はーい。任せてよ、ナツちゃん!」

「俺がすんのは最初のバフだけか。よし、ストーンゴーレムを出して……スピードアップっと」


 サクはアイテムボックスからストーンゴーレムを二体取り出す。そして順番に魔法スキル<スピードアップ>をかけていく。


「準備万端。いくわよ?」

「おっけ。いけ、ストーンゴーレム!」


 ナツの声に合わせてサクはストーンゴーレムを発進させる。

 ネルは杖を構えて魔法スキルを使用するタイミングを見計らう。


 キキッ!

 キキキキキ――――。

 ストーンゴーレムが動き出したことで山賊モンキーたちが敵の存在に気づく。しきりに鳴き声を上げてはキョロキョロと周囲を見回している。


 山賊モンキーの数体がサクたちを見つけたとほぼ同時。いつの間にか胸元からピストルを取り出したナツが攻撃を開始する。


 一、二、三。


 体が木や岩で隠れていない個体に目がけて放たれた弾丸は真っ直ぐに進む。そして無防備な猿肌を貫き血飛沫を上げさせる。


「やるぅー!」


 ナツの射撃能力にサクがふざけつつも褒める。しかし、言われた当の本人はそれが耳に入っていないようだ。彼女が装備しているピストルへ一度に込められる弾丸は五発。残りの二発でどの山賊モンキーを狙うか見定めているのである。


 先制攻撃によって山賊モンキーの群れに動揺が走った。突然のゴーレムの襲来。そして味方を狙撃されて仲間が重症を負う。初めての経験ではないにしろ、突然このようなことが起きて冷静でいられる者が少ないのは人も魔物も同じである。


「よっし! 私もー」


 ナツの先制攻撃で動揺している山賊モンキーたちを見たネルが追撃を加える。魔法スキルであるエアーボムを群れのど真ん中へと放った。特にどれかの個体を狙ったわけではない。集団の中央へ飛ばすことでどれか一体でも当たれば良いという考えがあった。


 群れのすぐそこにまで迫っているストーンゴーレム。三発の銃撃。魔物たちは動揺しつつも、戦闘モードへと切り替わっている。そのためネルの魔法スキルを多くの個体が視認し、回避しようとする。

 外側に位置取っていた個体は各々が思う方向へと移動。しかし、内側にいる個体は自分より外にいる個体たちが全員動かなければ身動きがとりづらく逃げられない様子。見事にエアーボムが一帯の個体にヒット。そして爆発することで近くにいた数体の山賊モンキーにもダメージを与えた。


 今の一撃で少しバラけてしまった山賊モンキーの群れ。分かれて先程より規模が小さくなった群れを二体のストーンゴーレムが叩いた。

 それぞれが一番近くにいる山賊モンキーへストレートパンチ。スキルであるため通常攻撃より威力が高い。

 狙われた二体の山賊モンキーは何を思うか目を吊り上げながら回避しようと動く。

 しかし、少しだけ動き出しが遅かった。繰り出された石の拳がそれぞれの個体の頭へとぶつけられた。凄まじい威力の攻撃によりターゲットの頭蓋骨の一部が陥没。再起不能となり、淡い光になる。二体のうちの片方はドロップアイテムを残した。


「ストーンゴーレムやっぱつえー!!!」

「そうね。でも、案外サクの魔法スキルも良い仕事してたわよ。あのバフがなかったら、たぶん猿どもは攻撃躱せてたからね」

「おっ、マジ? 初めて戦闘に役に立てたかもしんねえ!」


 サクはガッツポーズをして大喜びだ。


「あ、こっちにくる猿たちがいる! エアーボム!!」


 山賊モンキー数匹がプレイヤー三人組の存在に気づいた。群れに大打撃を与えられたことに怒り、血眼で迫ってくる。


 魔法スキルのクールタイムがあけたネルがすぐに迎撃。エアーボムが先頭を走る個体へと放たれた。

 しかし、先程までと違い空気の爆弾が直撃することはなかった。先頭の個体は素早く躱してみせた。

 地面に着弾したエアーボムが爆発し、後続の山賊モンキーへダメージを与えるも足を止める個体はいない。


「これは接近戦に持ち込まれるかも!」

「サクは足手まといだからもっと下がって!!」

「りょーかい! 任せた!!!」


 対山賊モンキー戦。

 第二ラウンドが今幕を開ける。




読んでいただきありがとうございます。

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これからもよろしくお願いします。

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