14話 石
「さてと、戻ってきたはいいものの……ゴーレムってどう修理すればいいんだ?」
マグマゴーレムを見事討伐した一行。
リトルストーンゴーレムのうちの一体が胸部を溶かされてしまったため、一度町へと戻ってきた。
「う~ん、私もちょっとわかんないなぁ」
現在、二人は<ねるのおみせ>で頭を悩ませていた。
リトルストーンゴーレムの胸部をどうすれば治せるのか分からないからである。
「あっ、でもいいこと思いついた! リトルストーンゴーレムと石でもう一度合成してみたらどうかな?」
「お~、確かにそれなら修復だけされそうな気もするな。リトルストーンゴーレムなら、作り方は分かってるし、最悪なくなっても困りはしないしな」
「そういうこと! 早速試してみよっ」
サクはすぐに合成を使用する。
黒と白の渦が出現したため、そこへ胸部が溶けたリトルストーンゴーレムとネルから渡された大量の石を流し込む。
――ピロロン!
――<ストーンゴーレム>――
ストーンゴーレム。
魔力を満タンまで補充することで動かすことができる。
知能はないため指示をした行動しかすることができない。
石でできた体を持ち非常に頑丈。
合成によりスライムの特性を一つ受け継いでいる。
魔力保持量:0/50
耐久値:200/200
特性:頑丈Ⅱ、弱者の証
スキル:ストーンバレット、ストレートパンチ
――――――――――――――――
「でっけえ!!!」
合成で生み出されたのはなんとリトルストーンゴーレムではなくストーンゴーレムだった。
「店の天井ギリギリだよ! っていうか、このゴーレムどうしてサイズ変わったの!?」
「ほら、見てくれよ! 普通のストーンゴーレムができたんだ!!」
サクから詳細を見せられたネルは目をカッと開く。
「よし、私の持ってる石全部あげる」
「え? いや、それは流石に悪いって」
「私が良いって言ってるんだから何も悪くない」
「や、確かにそれはそうかもだけど――――」
「つべこべ言わずやるよ!」
「あっ、はい」
ネルの謎の熱意に負けたサクは再び合成をすることになる。前回MPを空にしてから数時間は経過しており、現在の値は21。つまりあと2回は合成することができる。
一度目はもう一体のリトルストーンゴーレムと大量の石を合成してストーンゴーレムを生み出した。
そして二度目が問題だった。
「ネルどうすんだ? もうリトルストーンゴーレムいねえからストーンゴーレム作れそうにないけど」
「だよね~。でもさ、一度目から魔核と大量の石で合成したらストーンゴーレムになったりしないのかな?」
ネルは一度リトルストーンゴーレムを作るという段階を挟まずともストーンゴーレムは作れるのではないかと口にした。
「わっかんね~。まぁ、1回試してみるか」
サクは魔核を取り出そうとアイテムボックスを見る。
―――――――――――――――――
一角兎の短角 ×1
コケッコーの卵 ×2
コケッコーの羽 ×2
スライムジェル ×3
スライムの魔核 ×2
マグマゴーレムの魔核 ×1
―――――――――――――――――
「魔核はスライムかマグマゴーレムのしかねえな。流石にマグマゴーレムを使うのはもったいない気がするけど……」
「スライムの魔核を使うとまた弱体化しちゃうもんね。だったら、いっそのこと魔核集めに行かない? 南門から続く道を途中で外れると山に行けるんだよね」
南門から出た行き先は3つ。
更に南へと続いている道を進むと次の町<セクサト>。
途中で逸れて東へ行くと名も無き山。西へ逸れると大河が流れている。
「そこにはスライム以外もたくさんいるってことか?」
「そういうこと! 一度倒したマウントキャットもそうだし、ボア系とか虫系の魔物もいるよ」
「おー、おもしろそうだな! じゃ、そこで魔核集めるか」
新たな魔物と出会えると聞いたサクはすぐに乗り気になる。
「おっけー! あとできそうならついでに山のエリアボスも倒しちゃおうよ。私、まだ戦ったことないけど、噂を聞く限りだとサク君のストーンゴーレム二体がいれば勝てそうだし」
ネルは時たま知り合いの戦闘系ジョブのプレイヤーに混ぜてもらい攻略を進めることがあるのだが、ボス系はまだ一度も討伐していない。これを機に一度くらいは経験しておきたいようだ。
「ボス戦!? いいねえ、燃えてきた!! あ、でもその前にマグマゴーレムの魔核以外一回売りたいんだけどいいか?」
「え、別にいいけど合成の素材減っちゃうよ?」
「あぁ、それは分かってるけど金を作りたいんだ」
「どうして?」
「マグマゴーレム戦でさ、俺は一切何もできなかっただろ? だから離れたとこからでも敵に何かできる魔法とかが欲しいって思ったんだ。ネルがスクロールショップで魔法スキルを買ったって言ってたから、俺も同じことするかって」
自身が一切戦わないというのは何か思うところがあったようだ。
「そういうことか~。でも、サク君は魔の値も低いから……あっ、でも状態異常系とか、一部のデバフ、バフ系ならいけるかも!」
「デバフ? とかバフとか分かんねーけど、とりあえず何かいいのがありそうってことだよな?」
「そー! どういうものかは実際にスクロールショップに言ったら説明するから、まずはアイテム売っぱらっちゃお」
夕日が照らす中、二人は再び町へとくり出すのだった。
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