表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/23

13話 強敵

 引いた位置でサクが見守る中、二体のリトルストーンゴーレムはストーンバレットを放ち続ける。

 グツグツと煮えくり返る溶岩の肉体を持つマグマゴーレムはそれらを真正面から浴びながら直進してきていた。


 決してダメージがないわけではない。その証拠に小石が着弾するたび少量の溶岩が飛び散っている。ただ、大きな傷を与えられているわけではない。相手のスピードは落ちずあと少しでリトルストーンゴーレムたちのもとへと辿り着くだろう。


「そろそろ私も参戦しちゃうよ! エアーボム!!!」


 ここまで手を出してこなかったネルが魔法スキルを発動した。

 エアーボムは着弾時に破裂する空気の爆弾。それがマグマゴーレムの顔めがけて放たれた。


 マグマゴーレムの動きは決して早くない。それはサクの持つリトルストーンゴーレムたちと同じだった。

 ネルの使用した魔法スキルは風属性。速度が高い属性である。そのため足の遅い魔物が初見で避けるのは難しい。


「よしっ、当たった!」


 狙い通りエアーボムはマグマゴーレムの顔へと着弾。

 直後、破裂音と共に爆発した。


「ネルナイス! すげえ、音!!!」


 一人離れた位置にいるサクが興奮した様子で声を上げる。


「まだ倒せてないけどね!」


 エアーボムが直撃して一瞬動きが鈍ったマグマゴーレムだったが、すぐにまた直進し始める。


 リトルストーンゴーレムたちはもう肉弾戦の間合いだと判断し、魔法スキルを止める。そして灰色の両腕を振り上げて敵へと振り下ろした。


「ナイス! ゴーレム!! って、はぁ!?」


 二体の石の両腕が見事にマグマゴーレムの頭部へヒット。

 頂点部がぐにゃりと凹む。

 遠くから見ているサクが勝ちを確信したところでまさかの出来事が起こった。


 マグマゴーレムが頭部をへこませたまま反撃に出たのである。灼熱の拳を大きく振りかぶり、リトルストーンゴーレムの片割れへと突き出した。


 石が焼ける。

 高熱がリトルストーンゴーレムの胸部へと伝わり、灰からオレンジへと変色していく。


「まずい!! まってろ、今――――」


 サクは反射的に走り出し、リトルストーンゴーレムのもとへと辿り着く前に立ち止まった。彼は思い出したのである。自身は武器装備不可。仮に拳で殴りつけたところでたいしたダメージを与えられないということを。


「サク君大丈夫! 私がいる!!」


 ネルが再び、クールタイムあけのエアーボムを放つ。先程ダメージを受けたからか、マグマゴーレムは明らかに逃げようと反応する。

 だが、それは叶わない。胸を溶かされている方のリトルストーンゴーレムがマグマゴーレムの腕を掴んでいるからだ。


 自身の肉体を溶かされながら、敵を引きとめる。人や魔物のように痛覚があると取りづらい行動。まさにアイテムであるリトルストーンゴーレムだからこそできる芸当だ。


 風属性の魔法は速い。

 動きを止められているマグマゴーレムは成す術がなかった。


 エアーボムが頭部へと再び直撃。

 今度は溶岩が大量に飛び散った。


 チャンスと見た二体のリトルストーンゴーレムは全力で敵へ拳を振るう。一撃また一撃と当たるたびに溶岩が宙を舞う。


<レベルアップ! SPを3つ好きな能力に振り分けよう>

<レベルアップ! SPを3つ好きな能力に振り分けよう>

<レベルアップ! SPを3つ好きな能力に振り分けよう>


「うえっ!? アナウンスが三回連続で流れたぞ」


 リトルストーンゴーレムたちの健闘が報われた。

 祝福の音が三度訪れたのだ。


「マグマゴーレムが強いから一気にレベル上がったんだね。私も丁度一つ上がったし!」


 ――――――

 サク

 Lv.8

 ジョブ:合成士

 HP:170 MP:85

 力:3

 魔:3

 技:22

 耐:12

 速:12

 運:50

 スキル:合成


<装備>

 武器(右):装備不可

 武器(左):装備不可

 頭:小鬼の面

 体上:劣竜の皮鎧(上)

 体下:劣竜の皮鎧(下)

 靴:黒兎の跳長靴

 装飾品1:シルバーブレスレット

 装飾品2:―

 装飾品3:―

 ――――――


「よし、ステータス振り終わりっと」


 今回のSPのうち6は運へ。ジョブ適性に合わせて自動で上がる分もあったため運の値はこれで50となった。残りSP3のうち2は耐、1は速へ。これでどちらも12になる。


「私も振り終わったよ」

「だったら、ドロップアイテム確認するか。俺の運も結構上がってきたし良いもんあると嬉しいな」


 サクは目の前に待機している焼け跡のあるリトルストーンゴーレムからドロップアイテムを受け取る。


「この丸い玉まさか――――」


「「マグマゴーレムの魔核!!!」」


 二人は声を揃えてアイテム名を口にした。


「一応、魔核はドロップ率低い方なのにまた出たよ! サク君運良過ぎだ~!!」

「よっしゃー! あ、でも魔核しかないってことはマグマゴーレムを作れないんじゃ……」

「確かに。でも、マグマゴーレムは頑丈Ⅰ以外にも特性を持っていたはずだから、きっと役に立つはずだよ!」

「ならいいか! レベルが3つも上がったことだし、それのおまけだと思っとこうぜ」

「そうだね! 私もレベル上がったし、ラッキーだったな~」

「テンション上がってきたし、ここからもっと! って、言いたいところだけど、もうこいつの耐久値がないからな。一度町へ戻ろう」


 ――<リトルストーンゴーレム>――

 小型のストーンゴーレム。

 魔力を満タンまで補充することで動かすことができる。

 知能はないため指示をした行動しかすることができない。

 通常のストーンゴーレムよりパワーが弱く、体が脆い。

 合成によりスライムの特性を一つ受け継いでいる。


 魔力保持量:18/50

 耐久値:8/100

 特性:頑丈Ⅰ、弱者の証

 スキル:ストーンバレット

 ――――――――――――――――


「そうだね。戦力低下してる状態でこの場所は危険だし」


 戦果を確認した二人は満足顔で町へと帰還するのだった。



読んでいただきありがとうございます。

よければ、ブックマークや下の☆☆☆☆☆で評価をつけてもらえると嬉しいです。

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ