10話 二体目の
「次はゴーレムみたいに戦闘で役立つアイテムが欲しいな」
ベビマイラのぬいぐるみを合成後。サクはリトルストーンゴーレムの次となる戦力を求めていた。
「なら、魔核と何かを合成するのが無難かな?」
「でも、それでさっきぬいぐるみができたしな」
先程の合成は何も考えずに放り込んだわけではない。サクなりに獣系で揃えて何か生まれるのではという期待があった組み合わせだった。結果として合成は成功したものの、目的にはそぐわないものができてしまったが。
「ゴーレム狙うなら、こういうゴーレムいそ~って感じの素材と魔核を使えばいいんじゃないかな?」
「確かに石と魔核でストーンゴーレムって想像しやすいな。リトルなのは謎だけど」
二度の合成を経て、ドロップアイテムの残りはこのようになっている。
―――――――――――――――――
一角兎の短角 ×1
コケッコーの卵 ×2
コケッコーの羽 ×2
コケッコーの魔核 ×1
スライムジェル ×4
スライムの魔核 ×3
―――――――――――――――――
ネルとの考察を前提に組み合わせを探る。
「魔核をどっちにするかだけど……」
「コケッコーにした方がよさそうだな。スライムの魔核を使ってまた変な特性をつけられても困るし」
最初に合成したリトルストーンゴーレムはスライムの魔核を使用したため、弱者の証というマイナス効果の特性を追加されてしまった。今回は同じミスを犯さないようにとサクはスライムの魔核を避けることにした。
「私もそう思う。もう片方は獣系だと微妙そうだから、スライムジェル?」
「どろどろしたゴーレムなんかいんのか? 俺あんまゲームに詳しくないから知らないんだけど」
「いなくはないと思うけど……珍しいかもね」
「じゃ、試すか。失敗したらしたで、その組み合わせはダメってわかるし」
サクは合成を発動する。ダメでもともとと考えて黒い渦にコケッコーの魔核、白い渦にスライムジェルを放り込んだ。
そして結果は――――。
ボフンッッッ!!!!!
「ダメか~」
「残念だね。でも、前もってその可能性を考えてたからショックは少ないかも」
前回の失敗時には顔を引きつらせていたネルも今回はスンっとしている。
「次どうすっかな~。正直もう成功しそうな組み合わせないんだよなー」
「なら、もう一つリトルストーンゴーレム作っとく? 石なら私がたくさんあるからサービスであげるよ?」
「いいのか?」
「もちろん。こんなに面白いこと一緒にさせてもらってるんだもん。そのお返しってことで」
「ネルありがと。じゃあ、早速作るか、って! やばっ。コケッコーの魔核もう残ってない」
元々、ドロップしていたコケッコーの魔核は一つである。それを合成失敗で消滅させたため、手元に残っている魔核はスライムのもののみだ。
「じゃあ、スライムの魔核で作っちゃえば? 弱者の証がついても十分戦闘できるって分かったし」
「それもそうだな! こだわるのはもうちょい後でもいい」
サクは二体目のリトルストーンゴーレムを合成することにした。
――ピロロン!
――<リトルストーンゴーレム>――
小型のストーンゴーレム。
魔力を満タンまで補充することで動かすことができる。
知能はないため指示をした行動しかすることができない。
通常のストーンゴーレムよりパワーが弱く、体が脆い。
合成によりスライムの特性を一つ受け継いでいる。
魔力保持量:0/50
耐久値:100/100
特性:頑丈Ⅰ、弱者の証
スキル:ストーンバレット
――――――――――――――――
しっかりと弱者の証持ちリトルストーンゴーレムが合成された。
そして所持しているアイテム量もかなり減ってしまった。
―――――――――――――――――
一角兎の短角 ×1
コケッコーの卵 ×2
コケッコーの羽 ×2
スライムジェル ×3
スライムの魔核 ×2
―――――――――――――――――
「もう今作れるものもないし、残りのMP魔力補充に使うか」
「足りない分はまたあげるねー」
サクは残りMPを全て新しいリトルストーンゴーレムへと注ぎ込んだ。そして足りない分はネルが補う。
こうしてサクが稼働させられるリトルストーンゴーレムが二体になった。
「これなら北門の方から出てもいいかも」
「そっちの敵の方が強いんだっけ?」
「そうそう。私もソロだとちょっと危ないかもって感じ。戦闘系ジョブの同レベルの人たちは普通に戦えるらしいけど」
北門周辺に出る魔物は強い。南門側に出るスライムなどとは比べ物にならないほどである。ネルはレベルこそ高いが戦闘系のジョブではない。レベルアップ時に伸びる能力も生産系であるためソロだと少し厳しいのだ。
ただ、スキルスクロールで覚えたエアーボムがあるためパーティを組めば戦闘を生き抜くことができるだろう。
「強い敵か~。ワクワクするな! 俺は戦わないけど」
「ちょっとダサいかも、その発言」
「しゃーないだろ~。武器装備不可の俺が無駄にがんばるよりゴーレム作って戦ってもらった方が強いんだから」
「それは分かってるってば。ただ、言い方だよ。言い方」
そんなやり取りをしつつ、二人は<ねるのおみせ>を出る。
「あと北門の前に私の友達がやってる防具屋さんに行くよ。ベビマイラのぬいぐるみのお代としてサク君の防具一式揃えないとだから」
「おー、確かにそんな約束したな。忘れてた」
「まだ一時間も経ってないのにどうして忘れるかな……まぁいいや。とにかく北門の魔物は強いから、良い防具探すよ!」
「頼りにしてますぜ、ネル先輩!」
ネルの知り合いが経営している防具屋へと二人は足を進めるのだった。
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