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第39話 Side 小春&一哉&悠希&広夢

「ところで……男3人の中に小春ちゃん1人混ざることになっちゃったけど、大丈夫そ?」

「えーっと…今はそういうの気にしてる場合じゃない、かなって」

「へー、なら安心。ほら小春ちゃんさ、可愛いから。でも気を付けた方がいいよー?男は狼ってよく言うからね」

「えっ……!?あー、いやその…」

色々と実感のわかない小春は、広夢の言葉に対して、上手く返すことが出来なかった。


「この人、どうせ調子いいこと言って色々誤魔化すタイプの人だろうから、本気にしない方がいいよ。何なら言うこと半分くらい嘘だと思うから」

「一哉君だっけ?君えらいズケズケもの言うよね。友達いないだろ君」

「そっちの方こそ、いきなり『友達いないだろ』とかいうレッテル貼るの、大概性格悪いだろ」

「オレはちゃーんと友達いるもんね」

「その自分の価値基準の上下で人を判断しようとするところが、既に品性のなさが滲み出てるんだけど、自覚ある?」

「性格の上に品性まで決めつけるとか、君の方こそどうかしてると思うけどね?というか同じように協力しようとしてるとこなのに、喧嘩腰で接しようとしてくるとか、君協力する気が」


「ストップストップ!!!」

「はい、やめやめ!!そこまで!!!」

我慢ならなくなった小春と悠希は、ついに直接止めに入ることになった。

「カズ!煽って煽り返したらケンカになるって華月さんにもいっつも言われてるじゃん!」

「相良さんもそういう喧嘩腰ダメです!こんなとこ見られたら恥ずかしいです!!」

「だからと言って言われたまま黙ってるワケにはいかないってさ、悠希もそのくらいわかってるよね?」

「最初に喧嘩腰で接してきたのは一哉君の方なんだけどね、小春ちゃんちゃんと見てた?」

だが、火のついた場所に水をかけたところで、勝手に火が消えるわけではない。むしろ、燃え広がることだってあるのだ。


「時には我慢した方がいいこともある!ツムツムも言ってた!大体、そもそもこんな空気で捜査するのオレやだ!カズ空気読んで!」

「どっちが先だったとしてもどこかで止めないと喧嘩ってずっと続くんです、年上なんですからもうちょっと大人らしく振る舞ってください!」

「ぐっ……」

「ぐぬぬ……」

「そもそも最近のカズはずっと喧嘩腰!そんなんだから華月さんにもよく怒られてる!気を付けた方がいい!」

「いえその年上かは知らないですけど…でも協力するならそれらしくした方がいいです!相良さんだってあの時納得してたんならそうするべきです!」


「わかった、わかったよ…でも。仲良しこよしってわけにはいかないからね?悠希もそのへん、現実としてわかるよね?」

「はいはいオレが悪かった悪かった。小春ちゃんがそんな強情な子だとは思わなかったよ。今日のところは退いてあげる」

一度黙ろうとしたのを見て、なおも追撃を続けた悠希と小春に、2人は遂に折れた。

「さ、行こう。次口喧嘩したら2人は放っておくから」

「う、うん……」

「小春ちゃん……なんか君、思ったよりしたたかなとこあるよね……?」

小柄な少女である小春から出たとは思えない迫力に、2人はついついたじろいでしまった。


「はぁ…あんまりこういう脅しみたいなこと、やりたくなかったんだけど……」

「でも春ちゃんすげえよ。オレだって止めに入ったけど、その後どうすればいいかわかんなかったんだから」

悠希がそう言って、小春に笑いかける。その笑顔を見ただけで、小春は少しだけ安心した気分になった。

「情報が今のところ小春さんの頭の中にしかないからさ、あんたがちゃんと仕切ってよね?」

「はぁ…そういえばそうなんだよね……。それにしたって、由良さん…華月さんの妹さんって、何やってる人なんだろう…」

今から華月に電話でもかけようか、そう悩んでいた。その時。


「新島由良、って名前なら。そういえば聞き覚えがあるよ」

「そういうことはもうちょっと早く言ってくれない?」

「仕方ないだろ今思い出したんだから。警察組織にそんな名前の人がいたって聞いたことある。もっとも、あくまで噂レベルだけどね。辞めたか何したかまではわからないけど…でも小春ちゃんが見たってことはまだこの近くにいるんだろうね」

「やっぱりもうちょっと華月さんに妹さんについてちゃんと聞くべきだったんじゃ……」

過ぎたことはもう戻らない。しかし、それでも後ろ髪を引かれるような思いはあった。


「確かさ、18までは一緒に暮らしてた、って言ってたよね。オレそこは覚えてるよ!」

「18までって言うと30年前で、だいぶ長い事連絡取ってないってさ。そこまでは聞いてる」

「うーん…いまいちわかんないなぁ……こういう時。こういう時紬さんならどうしてたんだろう」

必死に頭の中から、新しい考えを手繰り寄せようとする。しかし、効果はなかった。

「なんで紬さんが出てくるのかはわからないけど、自分の頭で考えられる解決法には限界があるからね。他の人ならどう考えるって思うのは悪くないかな」

「何その上から目線」

「んー?オレ一応真剣に褒めてんだけどね。まーいいよ、新しい視点で物考えて、小春ちゃん的にはどう思うよ」


「こういう時は堅実に…聞き込み!」

「悠希には聞いてな……いや、案外いいアイデアかもしれない。そりゃ、この近くにいるなら目撃情報くらいはあるでしょ。特徴とかに関しては上手く言える?」

「え?特徴…えーっと…髪は黒で長くて、目の色は…赤かったかな。なんだか、血の色みたいな色だったかも」

「えらい物騒な表現だな……」

「春ちゃんのこれまでの人生がちょっと気になってきちゃったよオレ」

思わぬ表現に、その場にいた全員がたじろいだ。しかし、小春は構わず話を続ける。


「歳は、40代の半ばくらい。それで、すごくきれいな人だったよ。多分、華月さんが歳を取ったらそのまま、って感じだと思う」

「このあたりでの華月さんの知名度、そうでもないからあんまりヒントに使えないんじゃない?というか、華月さんの家ってここからそこそこ遠かった気がするし」

「あー…やっぱそうだよね……」

新島華月という人物は、どうやら決して有名人ではないらしい。しかし、聞き込みというアイデアそのものは諦めきれず、小春はなんとか言語化をしようと、頭を悩ませる。


「えーっとあと、顔だけは優しそうな感じの人だったよ!」

「そうそれ、そういうのが聞きたかった」

「あと華月さんに似てるなら、毛先も結構揃えてる感じだったりしない?」

「まだ、予知で見ただけだから上手く思い出せないけど……」

すっかり、新島由良なる人物の話題で、4人は盛り上がっていた。


「ちょっといいかしら、あなたたち」

不意に、背後から声をかけられたことに、悠希がいの一番に気づいた。どことなく甘さを感じる妖艶な声だが、悠希はそれに末恐ろしさを覚えた。

「新島華月という人を、知らないかしら?」

振り返ってみたその顔は、まさに新島華月とよく似ていた。


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