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chapter8 攻略の糸口


「手加減はしないヨ。」


王雲嵐が構えながら、そう言葉を綴った。


「本気でかかってくるネ。」


冬弥は何もこの1週間、ただ病院で寝ていただけではない。自身が何故、事務所にスカウトされたのか、そんなことはわかりきっている。


亮を殺したエクシスタンスの力があるからに他ならない。


冬弥はそのことを理解していた。だから、入院中にあの時の力を使えるようになるための自己訓練を行っていたのだ。


あの時の感情や身体に起きた変化を鮮明に思い出し、脳裏で再現する。亮を殺したあの力を。


確かに亮を殺した時のことを思い出すのは、辛かったし、悲しいものでもあった。だが、進むと決めた。そこに迷いはない。


そんな苦しい思いをしながらも、訓練を続けていくと、身体に変化が現れるようになった。尺骨のあたりから、何やら尖った刃物のようなものが出できたのだ。


これだと思った冬弥はこの感覚を忘れまいと、毎日、毎日、イメージを反復させていった。


そうすること、6日目。ついに尺骨のあたりから三日月型の刃物のようなものを作り出すことに成功したのであった。


王雲嵐が構えたのと同時に冬弥は自身の両腕の尺骨のあたりから、三日月型の武器を作り出した。


それを目の当たりにした王雲嵐は目を見開き、驚いた。


「これは、驚いたネ。」


「この日の為に練習してきましたから。」


「じゃあ、その練習の成果を試させてもらうネ。」


ダッ。


唐突に王雲嵐が間合いを縮めてくる。


それに冬弥は反応することができず、懐まで潜られてしまう。


ダンッ。


王雲嵐の右拳が冬弥の腹にクリーンヒットしてしまった。


「ゔっ。」


鈍い音共に冬弥は数m後方に飛ばされてしまう。


(重い。路地裏で喧嘩したことは何度もあるが、こんな重いパンチをくらったのははじめてだ。足にくるな。)


冬弥は何とか立ち上がるが、そこにすかさず王が再び詰め寄ってくる。


「クソっ。」


冬弥はそれを阻止しようと右腕を思いっきり横にスライドさせ、刃で切り裂こうとするが、王はそれを軽々しく後方に避ける。


「君の力はそんなものなのかイ。このままじゃ不合格になってしまうヨ。」


再び王雲嵐は構える。


(どうする。王さんのスピードは俺よりもはるかに速い。目でおうことが精一杯だ。どうする、考えろ。)


冬弥は突破方法を頭の中で考えていく。だが、王はそれを待ってくれはしない。


ダッ。


床を蹴り上げ、とてつもないスピードで冬弥に迫ってくる。


「くっ。」


何とか離そうと、両腕にある刃を思いっきり振り回すが全て避けられ、懐に潜り込まれてしまう。


「二発目ヨ。」


ダンッ。


鈍い音と共に冬弥の身体が宙に浮く。先程とは違い後方には飛ばず、上方向に飛んだ。


「これで、三発目ヨ。」


空中で無防備になっている冬弥目掛けて拳を突き出す。


ダンッ。


宙にいた冬弥は何も出来ないままその拳をもろに受けてしまい、後方に思いっきり吹き飛ばされた。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」


何とか立ち上がった冬弥であったが、その足は震えており、息も切らせていた。


(相当なダメージをもらったな。だが、さっきので攻略法は見えたぜ。)


冬弥は満身創痍にもかかわらず、笑ってみせた。




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