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第4話 オリエンテーション ③

お昼休み、結局ショルダーバッグを人質に取られた上に脇を固められたままの僕は逃げ出すことも叶わず、混雑する学食のカウンター席を確保してから藤原さんと並んで定食を頂いていた。

今日だけは、新入生は学生証を提示するだけで定食が無料で振る舞われていたから。


ボクノダイジナしょるだーばっぐ、かむばっく!

まあ、大したもん入って無いけどね?

あっ、スマホが中に入ってる!


「おっ、A定食、美味しいかも?」


「うんっ、そうだね~!」


藤原さん、食べ方が美しいんですけど?

見掛け、ギャルだけどホントは育ちが良いのでは?


その感想を、素直に彼女に伝えたら、


「あ〜、イメチェンして大学デビューしようと思ったんだけど、失敗かな?」


「そんな事、ないと思うよ?見た目も話し方も雰囲気も、僕の苦手なギャルそのものだし。僕以外は気がつかないんじゃぁないかな?」


「そっか〜、真成はギャル苦手なんだ。でも、食べ方だけでバレるものなのかな?」


いつの間にか、呼び方が真成になってるし?

まあ、いっか?

ぼくも、合わせようか。


「あと、歩き方だね。友香は医務室へ走っていったときの動きも、美しかったし?」


キョトンと不思議そうな彼女。

突然、首まで真っ赤になって、


「うぁっ、なっ、名前〜?それに、美しいってっ?」


「ん?どしたん?」


「名前でっ呼んでくれた〜?美しいって褒めてくれた〜っ!」


「友香に合わせただけだし?」


「貴方っ、天然って言われるでしょうっ?」


「何回か言われたことあるけど、何で分かるの?」


「それを天然って言うのよっ!!」


突然、不機嫌になる友香。

いや、上機嫌かもしれない、何で?

ホント、乙女心は良くわかりません。


「そういえば、義妹(いもうと)にも全く同じこと良く言われてたな〜?名前呼びすると拗ねるんだよねぇ〜っ。」


「私は拗ねてなんかいないしっ!義妹?」


「うん、血の繋がりはほんの少しあるけど、義理。」


「同居?」


「うん、同居。」


「拗ねるの、よ〜くわかるわ!」


あれ?友香、ヤッパリ拗ねてるよね?

ますます、よ〜くわかりませんね?


「連絡先、交換しよう!」


食べ終わると同時に、スマホを手に取り僕の前に突き出してくる友香。


「僕のスマホ、ショルダーバッグの中なんだけど?」


渋々といった表情で、バッグを返してくれる。

やっと、戻って来た!

あの時、突然友香に押し付けたからね?

実は大事なバッグだし。


ラインと電話番号を無事交換すると、途端に上機嫌になるのは何故だろうか?

同じ学部だから、これからの必修科目で毎日顔を合わせるだろうに?

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