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「お嬢様も人が悪い...」勘違い腹黒執事の日記帳  作者: 月と兎と雪
お嬢様11歳 爆竹事件(4/13~4/14)
2/9

日記No,2『策士は嗤う』

 お嬢様ノート No,2  記 お嬢様の執事


 いやー流石はお嬢様。記録されているとは知らずに相変わらずフルスロットルで飛ばしますね。

 しかし、鳥を追い払うために爆竹って...。(笑)

 効果は確かにありますが自室から投げるってどういう神経しているんでしょうか。

 フツウハナゲマセンヨネ...

 まったく...まだまだ子供と言えど非常識なお方ですね―本当に。

 ぁ....。

 

 すいません、僕も同罪です。口を噤みます。


 悪戯さえしなければ、素直ないい子なのですが...。


 


 お嬢様 11歳 4月14日 『策士は嗤う』


 今朝もチュンチュンと鳥たちは元気に鳴いていました。

 それはもう、元気に。

 はい...謝罪します。

 対処出来ておらず、すいませんでした。

 ですが、言い訳のひとつや二つ聞いてください。

 

 純粋に時間が足りませんでした、お嬢様。

 有効策が未だに思つきません、お嬢様。

 

 鳥たちが鳴き始めた頃。間もなくしてスマホの着信音が鳴りました。

 第一声は「執事どういうこと?」でした。

 「はい?」こちらもいったい全体、どういうことだ?となりましたが、チュンチュンチュンチュン画面越しに煩かったのを覚えています。

 

 急ぎご立腹のお嬢様の元に向かいますと、前日の再来です。

 片手に爆竹、片手にライター。

 既に窓は開け放たれており。

 外からは生の迫力ある声が押し寄せてきて。

 これは..確かに堪えますね。

 いつでも殺れる。そんなスタンバっている姿がありました。


 「おはようございます、お嬢様。約束も守れず未だ対処しきれず申し訳ありません。」

 形式上の一礼をするも、『そんなこと今はどうでもいいわ』とばかりにこう言われました。

 「おはよう執事。私の代わりに殺りなさい」 

 手渡されたのは言わずもがな。

 「承知いたしました」

 手慣れたもので私は躊躇なく着火し空に向かって放りました。

 間もなく。

 パンパパーンの嵐でした。

 

 鳥...沢山居たなぁ..。

 飛び立つ数百の後ろ姿に呆然と立ち尽くしていると。


 「これで同罪ね?執事...ふふふ♪」


 あの時のお嬢様の満足感溢れた表情、絶対忘れません。


 『執事。チクったら...わかってるわね。あなたはクビよ、クビ♪』


 そんなニュアンスを含んだ笑みだったのではと。

 思い出すとプルプル震えてしまいます。

 完全に嵌められたなぁ...。

 今にも気力体力底を尽きそうです。



 貴女様に従順な執事のことが少しでも哀れに思えたなら反省してください、お嬢様。



 さて、これからどうしたものでしょう...。

 手っ取り早く?伐採がいいでしょうが...木を伐ることの許可を貰えるでしょうか?

 いえ、この考え事態愚かでしたね。


 これに変わる代案が必要ですね...

 


 ◇お嬢様ノートNo,2『策士は嗤う』おしまい◇




 「本当に...弱りました。どうしたら、あの鳥たちは来なくなるでしょうか...。いたちごっこのようになってしまいますが、来たら爆竹、来たら爆竹を繰り返せば学習しますかね?あの害鳥ども。ですが...」


 はぁ...と重い溜め息を溢した青年は、邸宅の広い通路をワゴンを押して歩いていた。

 今は食器の片付けの為、流し場までの道すがら時間を効率よく使い頭を悩ます。

 と、言うのも、鳥さん事件。別名、爆竹事件が二日連チャンで起こってしまったからである。

 犯行は男女二人によるもので____完結に。

 彼は加担..片棒を担がされた身であった。


 「流石にこれから毎朝爆竹は...クレイジー通り越してもはやサイコパスですね...。それにいつお父様...旦那様が帰って来るかも分からないことですし...」

 

 旦那様は現在邸宅にはいない。そして、昨日。一度目の事件が起こった時にも家を空けていた。

 しかし、別にこの日に限ってのことではない。

 常がこの状態なのである。

 結果的にこのことは、執事とお嬢様。二人の口約束により口外されることはない...筈だ。

 しかし、彼は震えていた。


 「...バレたらクビ...ですかね?嫌ですよ?お嬢様。よく分からない理由でクビだなんて。お嬢様が納得しても僕は納得しません。...はっ!?... まさか、僕をクビにするための口実作りをしているのでは?...侮れませんね...」

 

 ぶつぶつと黒い思いを吐きながら、キュッキュッ、キュッキュッとお皿を真っ白にする執事でした。


 「さて...どう解決したものですかね...」

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