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闇の革命

プロローグ的なさわりだけ投稿するので、続きが見たいなどあれば返信ください

続きを書く場合は連載版にします

皆さま、ご機嫌いかがだろうか


といっても彼らはそれどころではなさそうだが。



「っ、、おいっ!こっちまで火が回ってやがる」

「くそっ!、、なんだってこんな」

「ねぇ、、、ねぇってば」



周りから聞こえる悲鳴に怒号


行く先々に火の手がまわり慌てふためく生徒たち


そう、ここは学園、、いや学園だった場所、となるだろうか。


そして数日後には皆まとめて灰となり、その後は良き肥料にでもなってくれるといい


---


「きゃっ!?、、痛っ、、、ちょっと!」


転んだ少女が痛みに声を上げる

どうやら瓦礫につまづいた拍子に足を挫いてしまったようだ


だが一緒に走っていた少年は目もくれずに走り去る


数日前の裏庭で友人達に見守られながら告白、そうして出来たカップルだった

彼も彼女も集まっていた友人達に祝福されて何とも幸せそうな顔をしていたのは、ほとんどの生徒の記憶に残っているだろう


「この世の何よりもあなたを大切にする」


残念ながらあの素晴らしい告白は嘘だったようだが。


それにしても彼女も報われないな


せっかく貧民街の浮浪者、それも病気の家族を持つ者を雇い

ライバルとなる何人もの同級生を強姦させて蹴落とし、

ようやく手に入れたボーイフレンドだったというのに。


結局は雇った浮浪者にしたように裏切られるわけだ


---


たった今折れた柱に押し潰され、一瞬にしてひき肉になってしまった彼


日頃から動物愛護を訴えつつも、裏では保護した動物を素材にして売り捌く

なんとも効率的な生き方をしていたようだ


そんな彼も最終的には同じような最期を迎えてしまったね


実に痛ましい限りだ


---


ふむ、ではそろそろ私の話に移ろうか


といっても諸君からすれば実に信じ難い話だろう


まずは名前からだが、、私はジェームズ・ロベスピエールという。


といってもこれは今世の名前だ。


一体何を言っているのか?そういう顔をしているね


そう、私には前世の記憶があるのだ


前世の世界は今世とは異なり、とても、、、そう発達していた


人体を切り開き研究することにより医学は進歩し


どれだけ離れていても情報が一瞬で届く


ハードとソフト、2つの分野から作られる機械の集合により人類はついに月にまで行けるようになった。


そしてそこで私は教師をしていた


いまだ大人にはなりきれず、かといって幼くはないが未発達な精神に寄り添い

一人一人の少年少女が成長すること、次世代を導いていける人間になることを願ってだ。


たとえ、、どれだけ人類が進歩しようとも

子供が経験を経て成長するという過程は必要なものだし、

最初から全てを兼ね備えた人間などいないのだから。


そうした人生を送った後、私が思ったのは、どれだけ進化して賢くなろうとも


教育を施し、学を与えようとも


手を取り合い、平和な世界に生きようとも


人々の中には、どうしようもなく愚かな者がいて

どれだけ力を尽くしても私には彼らを理解できないのだろう、ということだ。


そういった人間には様々な種類が存在するが、根底にあるのは下を見下し上を妬み

自身を顧みることは無いが望みだけは高く、瞬間の快楽のために他を蹴落とし嘲笑うことを何よりの生き甲斐としていることだ。


だがそれはきっと彼らも同じなのだろうとも思う

彼らもきっと私を、理解のできない気持ちの悪い生き物だと思っているはずだ。


そしてこういった感情の行き着く先が戦争であり、諍い争いなのだろう。


そこには食料、土地、技術に人、名誉に地位と多くの理由をつけていようとも

本質は相手への嫌悪があることには変わりないのだろう。


---


さて、少し話が逸れてしまったので戻すとしよう


このように私は教師をしていたわけだが今はこうして別の世界に第二の生を受けている


第一の人生に満足し、、、つまりは順風満帆な人生の幕を寿命で閉じた、、、というわけでは残念ながら無いのだが。



以前は教師をしていた私だが最終的には職を辞されて数年は牢で生活することになった

女生徒への婦女暴行だった


当時の私は、先ほども話したように生徒に寄り添い成長できるよう努力していた

自身の掲げる理想の教師像に従って。


だからこそ自身のクラスで起こっていた問題、立場の弱い生徒を奴隷にする行為

いわゆるイジメというものを知った時に、何も考えずにその生徒を庇った


現場を目撃してすぐその生徒を呼び出し事情を問うた


報復や更なる過激化を恐れた彼は、なかなか話してはくれなかったが

その後も彼の周りを注意して見るようにし、何かあれば真っ先に駆けつけイジメを阻止した


そうしてその度に彼に何があったのか、話してくれれば力になれる、と説得したが

やはり彼は何も口にせずにその場を去るだけ


だが、そうした状況がひと月ほどたった頃、状況が変化した


その日は特にイジメらしいことも起きずに放課後になり、

テストの採点を終えて早めに上がろうとしていたところに彼が訪ねてきた


「、、、先生、、、あの件なのですが」


俯いたままそう尋ねてきた彼を見て、すぐにイジメの件だと察した私は場所を変えて話を聞いた


内容としては予想通りで、今までされた事を聞いた時は吐き気を覚えたくらいだ。


だがどうして今になって話す気になったのか、何か事情があったのかと気になって聞いたら


「じ、実は、、いじめの証拠となるような映像を録画しようとしていて、、、」


そう言う彼はとても動揺しているようで、その言い分にも違和感を覚えたが、その時はようやくこのイジメを止められると

、、、、そう正義を執行するような気分に酔っていたのだろうと思う


だからこそ彼の安堵するような喜ぶような笑顔を勘違いしてしまっていたのだろう。


---



証拠は手に入れたが訴えは待ってほしいと、彼女にも更生の機会を与えてはくれないだろうか、と


彼はそう言ってきた。


その時の私は、そこまで優しくいられることに尊敬したし、イジメの主犯である彼女にもこの気持ちが伝わればいい

そんなくだらないことを考えていたね


「で、でも、、僕が、、、その、、直接言うのは、こ、恐くて、、、」


彼はそう言うと小さなカードを渡してきた

これは前世で使われていた映像などの情報を記録・保存するための媒体でメモリカードと言う。


それを承知した私は次の日の放課後に彼女を呼び出した


「率直に言おう、今行っているイジメをやめなさい」


そう切り出すと彼女は端から見てもわかるくらいに狼狽した


そこからは今までの経緯を話し、彼の気持ちを伝えて、今ならまだやり直せる、と

そう彼女を説得した。


最終的には彼女も涙ながらに反省の言葉を口にして、これでもう大丈夫だろう

、、、そんな油断があったのだと思う



その瞬間、彼女はへたり込むように後ろに倒れた

だが後ろには机があり、このままでは頭をぶつける、そう思った私は反射的に


「危ないっ!」


そう叫んで彼女腕を掴んだ


その瞬間の彼女は今まで見てきたどの人間よりも醜悪な顔で笑い、私の腕を引っ張りながら倒れた。


重心は後ろにあるとはいえ、身構えもせずにいた体勢で腕を引かれた私はよろけるようにして

彼女に覆い被さりながら倒れる



パシャリ



音に驚き振り返ると、イジメの被害者であるはずの彼がこちらにカメラを向けていてね


あぁカメラというのは一瞬を保存する道具とでもいえばいいのかな

とにかく私が彼女に覆い被さる瞬間を証拠として残されてしまったわけだ。


その後は語ることも特に無い、彼女は悲鳴を上げ彼が人を呼び、、、そして私は婦女暴行で捕まったわけだ。


牢で過ごして数年、外に出た私には何も残されていなかった。


教員免許は取り消され、二度と教師として生きることは叶わなくなった


当時、結婚していた妻は拘留中に蔑むような視線で離婚届を突き出してきたよ

あの時は初めての面会で相手が妻、ようやく私の話を聞いてくれる人と会えると思っていたからことのほかショックだったよ


実家にいる母は知らせを聞いて倒れたそうで、父からは絶縁の手紙だけ送られてきた。


まぁそれでも何とか生きていこうと職を探したが成人していた私の事は新聞やニュースで取り上げられていたらしくて


どこに行っても泥水をかけられたり、生ゴミを投げられたり、しまいには路地裏での暴行

酷いものだった


それからは職にもつけず援助もなし、どこかのゴミ捨て場でそのまま死に今ここにいるというわけだ。


---


とまぁこういうわけで私は次の人生の目標、、、指標ともいうべきだろう、を前世とは大きく変えて行動している


前世の彼が彼女と結託して私を嵌めた、そこにある理由がなんであれ、あれが人間の本質だろう


中には違う人間もいるだろうが醜悪な本性を賢しく隠す人間は存在するし、シンプルに愚かな人間もいる


そしてそれは前世とは大きく違ったこの世界でも同じこと。


だからこそ私は今度こそ、人間ではなく世界を正すために綺麗な世界を取り戻すために


世界からゴミを消すために生きていこうと思う。


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